01.建物好きブツブツ

先人の言葉がしみる

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2019.06.17.

神や仏という物は、ほとんどの場合、遠いところか高い山の上にいる。良い山もだいたいアプローチが長い、そこに行き着くまでにアプローチが長い方が高貴だというのは、そんなところから来たのだろうか。

(中略) そういう長いアプローチをつくろうとすると、敷地の脇に寄せられてどうしても狭い路地ふうになる。しかしその路地にグランドカバリングや踏み石を慎重にセットし、傘をさして十分に通れるだけの幅をクリアし、照明器具や焦点に見える玄関回りのデザインのちゃんとしたアプローチをつくると、その家はかなり立派な家風になる。後は家のデザインがその風情に耐えるかどうかの話。

・・・宮脇檀氏の著書より。

宮崎檀先生の『住宅設計テキスト』は、フムフムと『感動(共感)』させれらる言葉ばかり。

初版は平成5年だから昭和感バリバリなのであるが、高度経済成長時代のニッポンの住宅が、住み手の立場や昔から培われてきた住宅設計のイロハからドンドンと離れて建てる側(建設会社)の都合でまとめられていく時代、体系的に住宅の在り方を整理して、コツコツと『建築が専門でない人』に『建築の専門家』として『建築による幸せと喜び』を『伝える役割』を果たしている。

さてしかし、この伝えをソレゾレ実践していこうとすると、ジリジリと見積が上がる・・・。『伝えられる事』と『伝えられない事』に悩むのは、マダマダレベルの低い『建築の専門家』の証拠かな・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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御所の応接室

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2017.11.06.
 
トランプさんも相変わらずのようで、実は大統領という立場で各国の要人達に会い、仕草や物腰が少しずつ堂に入ってきたように思う・・・とまぁ、そんな事を言う立場でもないか・・・( ̄▽ ̄)!!
 
政治の話はどうでもよく、この部屋・・・。以前にも陛下がサウジアラビアの王子とご会見された時に使ったこの部屋ついて投稿したが、アラブ圏の方々から『この空間が、日本の最高のミニマリズムを表している!』『装飾がほとんどなく、空間の謙虚さが美しい!』と紹介されていた御所の応接室だ。
 
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『カーペットですらシンプルだ!』『偉大な日本の人々のシンプルさの象徴だ!』『天皇の地位にある方の部屋がこれであるなら、もう尊敬するしかない!』という声もあった。
 
今回のトランプさんとの写真は少しアップすぎて、空間の持つ優美さと謙虚さがわかりにくいが、ハッとして、また我に戻されるような気持ちになる。
 
報道も、もう少し広角で建築の空気感を流してほしいな・・・。そして、この空間での天皇・皇后お二人のこの謙虚な姿勢が、どれほど日本のためになっているか・・・。
 
日本の素晴らしい所を伝えてほしいよ・・・ブツブツ・・・・・。
by agra (バイアグラ)

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アラブから見た日本

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2017.08.08.

昨年、サウジアラビアのムハマンド副皇太子が来日され天皇陛下と会見された時の写真が、素晴らしいと話題になったことがある。

アラブ圏の方々からの言葉として、『この空間が、日本の最高のミニマリズムを表している』、『装飾がほとんどなく、空間の謙虚さが美しい』などと紹介され、『どうだ!これが日本だ!!』という気持ちなった・・・。

もちろん皇室自体の素晴らしさや、サウジアラビアと日本との友好的な関係性などの理由があるのだろうが、その辺りは誰かに任せる・・・。ともかく、ずいぶん長く建築を勉強してきたものとして、このお客様をお招きするためのとてもシンプルな空間が、本当に素晴らしいと感じるようなった。

そして、この空間の程よくあか抜けた『良い意味での抜け感』を作っているのは、左側の窓だと思う・・・。

おそらく大切なのは、正面の窓と左側の窓が隣接(連続)していること。もしここに、正面の窓しかなかったら、この空間の方向性は正面の窓だけの1本のベクトルになってしまう。正面の窓のすぐ脇左側に連続するように違う方向の窓があることで、ここに座る方々の感じる世界が、突然とても大きく広がるように思う。

また、右側に窓がない事で、右側はハッキリと上座になっている。招かれたお客様は少ながらず緊張感や不安があるのもだけれども、左側に大きな世界に広がる窓がある事に対して右側に外界の刺激から守るような壁があることで、とても大きな安心と落ち着きを与えられることになるだろう。

華美な装飾の無い空間とは、装飾を重ねる事によって招待側の顕示欲を出すことで相手を歓待するのでなく、あくまで徹底的に招かれる側の心に寄り添って、その方の歓びと幸せ感を引き出そうとする姿勢だよね。

私が和モダンが好きというのは、こういう事かもしれない。外国に住んだからこそ感じる和の良さだと思う。

歳くったな・・・。毎日、こんなことが考えているなんて・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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夏はエアコンを点けっぱなしにする?

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2017.07.25.

 

必死で仕事をしているが、朝から瞼が重い・・・(-_-)zzz。暑くて寝られなかった夕べの深夜。今朝の時点でも、室温は29℃で湿度が90%。あまりの暑さと汗の不快感で目覚めることになった・・・。

 

我が家は就寝時にエアコンを掛けないのだが(普段もあまり掛けない)、また毎年の論議の記事が出てきた。エアコンは点けっぱなしの方が良いのか、消した方がいいのか・・・。添付のアドレスは、エアコンメーカーのダイキン工業がまた実証実験を行ったというもの。この記事では、結局は30分おきに入切をした方が135円お得だという・・・。

 

最近、メディアが発する情報は信じられないという事が良くわかってきたのだが、この記事は何のための記事なのか。

 

条件がマンションの南向きの部屋2室を使って、朝の9時からの実験だとのこと。ある意味、条件が良すぎる。戸建住宅のように、屋根が日中の太陽熱にさらされるわけでなく、おそらくコンクリート製である界壁(隣の部屋との戸境壁)は、夜の内に十分下がった温度が上がってしまう前に、隣家のエアコンによって十分に冷やされている。

 

この時期に、戸建て住宅で、昼の12時から18時までエアコンを30分ごとに入り切りすればどうなるだろう。ともかく、強烈な日射が建物を包み、屋根・壁・床の温度を適温まで下げる事がなかなか出来ず、エアコンはずっと高馬力を掛けっぱなし。連続で掛けていればまだ数時間で躯体の温度は下がるが、30分ごとに切ってしまうと、毎回0からスタート、もしくはマイナススタートだ。

 

公表するなら、ある程度のパターンを想定して、複数データを出して並べてもらいたいものだ。結論ありきで、一方的に情報発信をするのは、結局は都合のいい情報だけを出すことになり(実はメディアはずっとそうしてきたんだろうが・・・)、それがその人(その会社)の意見だという事で済めばいいが、大きな力が後ろから情報コントロールし『情報戦争』を仕掛けているとしたら、メディアは一つの兵器になってしまう。(あっと、それは政治の話か・・・!)

 

一方で、この実験のパターンでは、エアコンを点けっぱなしとすると一日35円の電気代UPになるという事だが、それならば、やはり点けっぱなしにするべきなのかもしれない。機械空調で快適を求めるなら、点け消しのストレスと、実際の不快時間を減らすことはとても重要だろう。

 

ただし、ここまでの話は、温度と湿度から導き出される不快指数のはなし。

 

深い庇の奥に下がる簾がゆっくり揺れる様子を眺めたり、ガラスの風鈴の涼やかな音を聴いたり、いやもっと現実的・建築的なことを言えば、風は建物に入る入り口よりも出口を優先して計画し、3つの首(首・手首・足首)のところに風が抜ける巧妙な間取りを作ることや、リビングに低めの吹抜けを作り、その吹抜けの部分をわざと暗くして少し遠くに光が抜ける部分を作る事で、視覚的に空気の流れを感じさせて涼やかさを演出するなど、建築屋さんは、機械屋さんと違うところで勝負してほしいと思う、今日のこの頃・・・。

 

このトップの写真は、『大清水の楽屋(おおしみずのらくや)』。昨年は、8/1の時点でも、まだ一度もエアコンを点けていないと、クライアント様が大いに喜んでくださった・・・。

 

私の話も、話が結論に向けて偏ったことばかり言っているのかな・・・ブツブツ・・・・・。

 

by agra (バイアグラ)

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ただ気になるだけ

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2017.5.4.

ペーパーホルダーが2連に並ぶ。なんのためなのか・・・。

私も最近はこれを提案するようになった。

横幅が大きいために、用を足す時にスマホなどを置きやすいし、これ、結構荷重をかけても大丈夫なので、高齢者などいろいろな理由で立ち上がることが少し困難な方にも、グッと手を掛けて支えにすることができて、とても助けになってくれる。

各社でいろいろな商品が出ているが、正直、格好の良いものが少ない。

TOTOやLIXILなどではなくKAWAJUNのような金物専門メーカーならば、それなりにクールなものがあるが、逆にその他の周りのもの・・・この写真のようにウォシュレットのスイッチとか・・・との意匠が合わず、大きいだけに非常に浮いてしまう事がある。

そんな理由で、最近は素直に、存在感の薄い白いダブルを提案するようになった。

それはさておき、なぜダブルなのか。

結論は便利だからなのだが、その便利の一つの理由は、片方がなくなっても大丈夫・・・!!という事。

しかし、いろいろな方の家に行くと、結構両方が同時に減っている・・・。両方が全く同時になくなることはないだろうけど・・・。

ひとんちのペーパーの減り方に、あーだこーだ言う男は、ほんと小さい!・・・と思うが、普段から人の生活・行動をジッと考える仕事なもんだから、気になって仕方がない・・・。

ウチは、シングル。そんだけの話・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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ダイニング丸テーブル(宮崎椅子製作所)

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2017.5.3.

ゴールデンウィークに休みがあるのが無いのか、よくわからない感じの小さな設計事務所経営者だが・・・、今日は、息子のサッカー試合の送迎に桑名へ。

試合会場の中学校が、ちょうど大好きな家具屋である『コンフォートマート』さんの近くだったので、ゆっくり立ち寄った。

今度の物件でも提案している、ダイニングの無垢の丸テーブル。有名な『宮崎椅子製作所』さんの物。

写真に写っているのは、ナラ材。他にサクラやホワイトアッシュなど、いろいろな材料で作ることができ、やはりそれぞれに風合いが違う。

もともとは3本足のハズだけれども、コンフォートマートさんでは特別に4本足をお願いして作ってもらっているという。信用と実績がある証拠だな。

それにしても、意外に安かった。意外すぎるほど・・・。このテーブルで12万円前後だと・・・!!

イスは『カールハンセン&サン』の有名な『Yチェア』。これは、それなりに高い。7.6万円。でも、やはり、格段に座りよく、デザインも素晴らしい・・・!不朽の名作。私も大好きだ。

テーブルがこんなに安いなら、イスを頑張れるな・・・。

出来る事なら、当事務所にもそろえたいが・・・そんな余裕はないか・・・。

いつも、人の分だけ考えるのが、さびしいなぁ・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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造園家・荻野先生の本

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先日、造園家・荻野寿也先生の新しい本が届いた。エクスナレッジ社の木藤阿由子さんが監修したもの。

建築は、環境にマッチして初めて素晴らしいものになり、その意味で本来は、造園は建築に欠かせないものと言える。しかし、なかなか建築士としてその具体的方向性をハッキリ見る事・見せる事が難しい。

荻野先生は、実に建築家の目線に近いところからわかりやすく説明してくれる人。

建築家・伊礼智先生の縁で、何度か荻野さんにお会いして、一緒にお酒を飲む機会があった。もちろん、荻野さんが作られたお庭も、ずいぶんたくさん見た。

造園に対するまっすぐな心と、古い考えに囚われない手法、そしてよく草木の事を理解した技術は、本当に勉強になるし、お話も引き込まれるようで面白い。

今回の本は、『伊礼建築』と『荻野庭』を知り尽くした建築知識ビルダーズの編集長・木藤さんが、その集大成というか、お庭を中心に住宅のあり方をまとめてくれたものと考えてもいい。実に面白く、役に立つ内容だった。

ただし、本だけを読んでも、なかなかハウスメーカーではマネできない事が多いかも知れない。専門家ではない営業マンが基本計画をしたり、効率を優先させることを指示された若い担当者に任せてしまうメーカーでは・・・。

建築と庭を分けずに一体に考えながら、さまざまな知識と技能をフルに使わなければ難しい事ばかりかもしれないという事だ。

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さて、04.のページでいきなり、以前酒の席で2回も怒られた『ケヤキを建物の近くに植えてはいけない!』という言葉。ウチの中庭のケヤキ、もう植えて10年になるんだけど、結局どうしたら良いんでしょう・・・ブツブツ・・・・・( ̄▽ ̄)‼︎

by agra (バイアグラ)

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70cm角の窓

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2017.04.26.

以前から何度か書いているけれども、自宅の2階リビングにあるこの70cm角の窓が好きだ。

特にケヤキの葉が鮮やかな新緑色となるこの季節。今日のように雨の日も良い。

特に素晴らしい眺望が見えるということでなく、窓建具自体も最も安価で中央に方立が立ってしまう引違いのアルミサッシ。

ただそこに、生活の中での自分の範囲を越えない普通の景色がある。緑の向こうに木製のフェンス、赤茶色の外壁・・・。

暮らしの中に好きな窓を持っているという事は、なんと素晴らしい事だろうか。

良い窓を作ろう・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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ピョンヤンのすごい都市計画

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今話題の『ピョンヤンの街の高層ビル群が、ただのハリボテじゃないか!!』という話。

面白そうなので、GoogleMapで散歩してみた。(と言っても、さすがに北朝鮮では、ストリートビューは見せてくれないが・・・。)

外国からの旅行客などが必ず通るであろう街の中央を横切る大きな道路を挟むように、たくさんの高層マンションが立ち並んでいる。

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すごい!!

しかしこれは、ハリボテなんかではない・・・。

うっす~いけど・・・!!

大きいからわかりづらいけどれども、ワンルームマンションが並ぶほどの厚みはありそうではないか・・・。

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考え方を変えれば、これは国力を大きく見せるための、れっきとした都市計画だ。

巨大で薄っぺらい建物に囲まれたスペースには、まだ普通の低い家などがあるようだけども、それらの日照なんて関係ない。

土地は国の物であり、その国がいかに強いかを見せるための都市計画は、何よりも優先されるべきである・・・。(私の考えではないからね・・・!)

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ただし、聞くところによると、すぐに停電するとか、高層だけどエレベータが動かないとか、さまざまな問題があるそうではある・・・。その他の設備も、給水もさることながら、排水も危なそうだな・・・。

それに、少なくともこのような強引な縦横比の建物が、安全上、構造上、確実に建てられているのか・・・・・なんてことは、考える必要なしか・・・。

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『建築』は、そこに住む人々の文化・風習と気候などの自然現象との戦い・工夫など、長い長い歴史の中で培われた複雑な要因があって初めて形が作られる。

私は、20年前にスペインに渡って切実にその事を感じ、帰国してからは、今の日本で建てる住宅には、和モダンの要素を取り入れるべきと思うようになった。住宅は、建築家のマスターベーションで建てられるものではなく、『ここで住む人が幸せになる為の家』であるべきだからだ。

長い時間をかけて培う文化や経済的な発展による国民生活の向上を無視し、他の国でいう数十年を吹っ飛ばして建築を行うと、こうなる・・・。

しかし、やはりこれは、国家が考える都市計画であることに、違いない・・・ブツブツ・・・・・。

by agra (バイアグラ)

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強い杉フローリングは・・・

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営業のために新製品を送ってくれることがよくある。今回は、杉の300角のタイル状フローリングとでも言うようなもの・・・。

しばらく考えたが、申し訳ないがやはり使う予定がないので、細く割いて薪ストーブの着火剤にしようと考えたのだが・・・。

四方にサネがあり気が付かなかったが、繊維方向を交差させた3層積層材だった・・・。

普通なら軽く斧を落とすだけでサクッと割れるものが、振りかぶって思いっ切りブッ叩いても割れず・・・。それだけ強いフローリングだという証拠になりました・・・。

さて、そんな変化・変形のない杉の床材・・・。裸足の足裏が触れるところにそれでは、逆に愉しくないような・・・。

やはり、ウチの設計には要りません・・・ブツブツ・・・・・。

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