アラブから見た日本
2017.08.08.
昨年、サウジアラビアのムハマンド副皇太子が来日され天皇陛下と会見された時の写真が、素晴らしいと話題になったことがある。
アラブ圏の方々からの言葉として、『この空間が、日本の最高のミニマリズムを表している』、『装飾がほとんどなく、空間の謙虚さが美しい』などと紹介され、『どうだ!これが日本だ!!』という気持ちなった・・・。
もちろん皇室自体の素晴らしさや、サウジアラビアと日本との友好的な関係性などの理由があるのだろうが、その辺りは誰かに任せる・・・。ともかく、ずいぶん長く建築を勉強してきたものとして、このお客様をお招きするためのとてもシンプルな空間が、本当に素晴らしいと感じるようなった。
そして、この空間の程よくあか抜けた『良い意味での抜け感』を作っているのは、左側の窓だと思う・・・。
おそらく大切なのは、正面の窓と左側の窓が隣接(連続)していること。もしここに、正面の窓しかなかったら、この空間の方向性は正面の窓だけの1本のベクトルになってしまう。正面の窓のすぐ脇左側に連続するように違う方向の窓があることで、ここに座る方々の感じる世界が、突然とても大きく広がるように思う。
また、右側に窓がない事で、右側はハッキリと上座になっている。招かれたお客様は少ながらず緊張感や不安があるのもだけれども、左側に大きな世界に広がる窓がある事に対して右側に外界の刺激から守るような壁があることで、とても大きな安心と落ち着きを与えられることになるだろう。
華美な装飾の無い空間とは、装飾を重ねる事によって招待側の顕示欲を出すことで相手を歓待するのでなく、あくまで徹底的に招かれる側の心に寄り添って、その方の歓びと幸せ感を引き出そうとする姿勢だよね。
私が和モダンが好きというのは、こういう事かもしれない。外国に住んだからこそ感じる和の良さだと思う。
歳くったな・・・。毎日、こんなことが考えているなんて・・・ブツブツ・・・・・。
by agra (バイアグラ)
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