乾燥しないさ、薪ストーブ・・・
たくさんある理由はまた書くとして、ともかく、遠赤外線が空気より向こうの壁や天井・床を暖め、それらからの面の広い輻射熱ために、人が感じる暖かさの種類が他の暖房器具と違ってとても気持ちが良い。それに、薪の段取りから含めて少々苦労する事が多いからこそ得られる生活の豊かさは、何にも代えがたいと実感しているからだ・・・。
しかし、薪ストーブは部屋が乾燥すると思われることがある。石油やガスのストーブは燃焼する時に水蒸気も作るからともかく、冷媒の圧縮・膨張を利用して温度を調整するエアコンよりも乾燥すると思っている方もいる。そんな事はないと言っておきたい。
たしかに薪ストーブは室内の空気を燃焼させるものであるが、換気が適度に取れていれば、薪ストーブが直接湿度を下げる事はない。ただし熱量の高い暖房器であるために温度を上げすぎてしまい、『空気中の水分量は変わらないならば、相対湿度が低くなってしまう』事はある・・・。
そもそも、一般にいう『湿度』とは『相対湿度』であり、空気の温度によってその空気の中に気体として存在できる水蒸気の量が違う事から、同じ水蒸気量(水分量)でも、温度が低ければ相対湿度は上がり、温度が高くなれば相対湿度の数値は下がってしまう。
エアコン暖房は、本体から、圧縮することで熱くなった冷媒管の温度をファンの力で風として出す(冷房時は反対に、膨張させて冷たくなった冷媒管の温度をファンの力で風として出す・・・)。
普通温湿度計を取り付けるのは部屋の中央ではなく壁面である。そのため、エアコン暖房の場合、湿度計のある壁面は外気の影響を受けて温度が低くなり、湿度の数値は実際の部屋全体の平均相対湿度より高く出ていると考えられる。
しかしながら、最近のエアコンは人を狙って温風を出すことが出来。という事は、実際に人がいる場所は(もしくは部屋の中央は)、逆に部屋全体の平均相対湿度より低いと言っていいと思う。
一方、薪ストーブは、ストーブ廻りの空気も暖めるが、前記したように遠赤外線で壁・天井・床を暖めるために、壁面の温度が高くなり、湿度計の数値は実際の部屋全体の平均相対湿度より低くなる傾向がある。
さて、写真は、当家の今朝9時ごろの状況(今日は2/7)。今日のこの地方は快晴だが、室内温度19℃、湿度は88%。むろん、ストーブには常にヤカンや鍋を掛けているし、部屋はLDKタイプでキッチン(水廻り)もある事から、たしかに水蒸気量の多い部屋ではある。しかし、この数値はストーブの廻りの状況ではなく、少し離れた壁に掛けた温湿度計の数値だ。つまり、室内平均湿度よりわずかに低い数値であるにも関わらず、88%もある。
室温19℃で湿度88%というのは、計算すると空気中の水蒸気量(水分量)は14.4g/m3。水蒸気量をこのままにして室温を24℃まで上げると計算上の湿度(相対湿度)は66%まで下がる。相対湿度とは、そういう事だ・・・。26℃まで上げると59%に、仮に30℃だと、49%・・・。
薪ストーブは、設定温度を数値でコントロールするものでは無いために、温度を上げすぎてしまう傾向がある。燃焼能力が高く、はじめは時間が掛かるが比較的簡単に部屋中(家中)が暖まってしまうので、実際に、友人たちの部屋の温度は、皆とても高いと聞く。温湿度計が設置される壁も暖まり、そのために『湿度は低い』と思ってしまう傾向があるように思う。
また、インフルエンザ菌は、相対湿度によって活動が決まるらしく、50%以上だと生きられないという。ここでもう一度計算すると、室温18℃で相対湿度70%の部屋とすると、空気中に含まれる水蒸気量は10.8g/m3。このまま室温を24℃に上げてしまうと、同じ水蒸気量でも相対湿度は49.5%まで落ちてしまう。インフルエンザ菌が活動し始める湿度だ。ちなみに、27℃では42%、30℃だと35.5%(室温18℃の時の約半分)となる・・・。
つまりこれは、部屋の温度を上げ過ぎるから風邪をひくという事にもなっている。
では、室温18℃や19℃だと寒いのか・・・。むろん地域性や、建物の状況・環境によって違うのだろうが、実感からすると、薪ストーブの部屋であれば、肌着にトレーナーくらいで十分の暖かさの部屋だと言える。
エアコンの18℃は、エアコンから吹き出される風によって室温が18℃なのだが、実は壁・天井・床などから、常に冷気を感じている。薪ストーブは、遠赤外線で壁や天井・床を暖め、溜まった温度が輻射式にジワジワと四方八方から部屋を(人を)温めてくれる。
また窓を開けて換気をしてみるとわかるが、エアコンの場合は数分で空気が入れ替わりグッと冷えてしまうが、薪ストーブでの窓開け換気はあまり温度が下がらず、窓を閉めればすぐに壁・天井・床からの輻射熱で元の暖かさに戻ってしまう。
ただし、一つ言っておくと、薪ストーブでは【窓開け換気】は不要と思っている・・・。常に部屋の空気を燃やしているために、廊下や、もしくはシックハウス換気用の給気口からどんどん外の新鮮な空気を引っ張り入れており、法で決められた0.5回/時間以上の換気なんぞ、軽く行われている・・・。
という事で、他のいろんな条件がクリアできて、薪の段取りから煙突掃除までの面倒をこれこそ生活の豊かさだと感じられるのであれば、絶対に薪ストーブは良いのだよ・・・。
ちなみに、薪ストーブだけでもいいし、ある種のパッシブソーラーシステム等と併用すると、家中どこも(廊下もトイレも、洗面脱衣室も・・・)均一に暖められる【全館暖房】だって、比較的簡単に安価に作れますよ。
いつでもお電話ください。設計いたします・・・ブツブツ・・・・・。
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