和室の土壁仕上げの価値
築40年の家の改修・・・和室の聚楽(じゅらく)の2回目の塗り替え。新築のようになるとは言わないが、飴色が深くなっていく建具に絡んで、ピンと張った静粛感と空間の落ち着きを取り戻す。
元来日本の家は、柱と梁の接合部の靱性(粘り)を構造の基本としていた。土壁はその粘りを補助し人々の命を助け、仕上げの塗土は何年かに一度もしくは大きな自然災害の度に塗り替えられた。災害は、時として村の左官職人の仕事を生み、大工の仕事を生むという側面を持っていた。
手を掛けなくていい材料は要らない。家主が家を気づかい、手を掛け、それが家の行事、家族の行事、村の行事となり、人々の仕事を生み、おのおの役割を生み、責任感を生む。家というものは、それほどに重要なものなのだ。
...【古市に生きる家】 アグラ設計室
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