段差のない床がいいのか、否か
床に段差のない家が良いとは思わない。むしろ、段差によって初めて生まれる広がりや住処の楽しさを伝えたい・・・。
日本の70年代モダンの家などには、内部建具は三方枠でなく、四方枠という事が多かった。下枠になる部分も15~20mmの高さになる戸当りがあり、廊下からの風の侵入を防いだ。地面に座る習慣のある日本人にとって重要な物だったのかもしれない。
もとよりこの時代には、バリヤフリーなどという言葉はなかった。しかし、本来バリヤフリーとは、床に段差がないという意味ではない。生活の障壁を取るという事だ。戸の隙間から流れる風という障害をなくすためであるなら、下枠という段差もバリヤフリーと言えるだろう。
ただしここは、老夫婦の家。本人たちは40年住むこの家で、下枠の20mmの段差など気にした事がないというが、近い将来障壁になりえる下枠段差は、フラットにすることを勧めた。
新しい下枠は、タモ無垢材。これから枠と同じ色に塗る。左の新しい床板は無垢の唐松(養生ベニアは別)。右の古い床板は、70年代台らしい寄木組の合板。ここでも、古株大工の丁寧な技が見える・・・。
【古市に生きる家】 アグラ設計室
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