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2011年9月の2件の記事

吹抜と本棚と光と

110919001_2 吹抜けに本棚・・・。

 あまり言うべきではないが、吹抜けを有効に使うテクニック・・・。

 リビングを上から眺める位置に、部屋から部屋に移動するための2階の廊下。2階の廊下とリビング上の吹抜けが繋がるというのは、よくある光景だ・・・。

 上下に空間を利用し、風が通り、伸びやかな視界を生みだし、ちょっぴり豪華な印象も受ける。

 ただし、廊下は廊下・・・。住み慣れると、ただの移動のため通路になってしまう・・・。

110919002 その2階の廊下に、一方は吹抜けに少し張り出すようにたっぷり容量の可動棚付き本棚を・・・。他方には、柱の太さを利用した、文庫本サイズの本棚を設ける。もちろん両方とも手摺代わりとなっている。

 廊下が便利な収納に・・・。いつまでも、立ち止まる理由のある楽しみの空間に・・・。一つの大事な部屋になる・・・。

 今回の家は、その廊下の北側に階段があり、廊下と合わせて一つの空間になっている。そして例の法則で、階段室の上には小さな既製品の天窓を設置・・・。

 天窓が階段室をとても明るくするだけでなく、この【書庫】となった廊下もとても明るくする。ここには南側に窓がなく、直射日光は全く入らない。これだけ自然光で明るいのに、大切な書籍が日焼けしてしまうこともない。

110919004 吹抜けは、下から上を見上げた時の意匠も大切だ。

 ただ吹抜けていて、南側の窓がヤタラメッタラ大きくても、暑いとか、明るすぎて新聞が読みづらいなんていう事になってしまう・・・。

 吹抜けだからこそ、光の量をコントロールする。

 本棚の上部には、障子の引き違い建具を取り付ける・・・。吹抜けを区画し、冬の暖房された空気が逃げていかないように配慮しているだけでなく、吹抜けに北側の天窓、そう階段室の上の天窓からの光を柔らかく入れる。

 早く今回の建物が出来上がって、これらのテクニックをお見せしたいものだ。意味のある空間の繋がり、光と風のコントロールのある家・・・。

 今回も、実にマジメなブログを書いてしまった。現場に行って、現場がピッタリ自分の思ったようになっていると、ムチャクチャ嬉しくなって、つい誰かに言いたくなる・・・。言われたって、興味の無い人には、わからんだろうなぁ・・・。

 まっ、今回も、良いものが出来そうなんですよ・・・マジで・・・ブツブツ・・・・・。そんだけ・・・。

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天窓の使い方

110908006 この夏の当ブログへの検索ワードで、ダントツだったのが【天窓・暑い】だった。天窓の暑さで苦労している人は、案外たくさんいるようだ・・・。

 去年の6月にスタートした住宅が、ようやく完成する。一昨日、1回目の写真撮影へ・・・。

 カメラマンは、いつもの写真家【米田正彦氏】。その米田氏に、月曜の夜の10時に事務所に来てもらい、荷物を積み替えてGO・・・!

110908001_2 何と言っても、事務所から330km離れた、湘南海岸まですぐという現場・・・。もし朝の一瞬の良い光があるとしたら、逃すわけにはいかない。夜を徹して現場まで走り、日の出前、現場に到着・・・。

 家族も多く、叶えたい条件がとてもたくさんあったこの家。そこで使った一つの作戦が、【天窓】・・・。

 【天窓】の使い方を一つ見せたい・・・(というか、自慢したい・・・・・)。

 実は4世代2世帯住宅となるこの家。どうしても面積が大きい・・・。限られた敷地の中に、限りなく平屋に近い、『あまり大きく見えない大きな家』を建てる。簡単に言うと、これが最も大事な【主題】だった。

110908002_3 東西に長いが南北に短い敷地。その南の隣地境界線いっぱいに、隣家の背中がそびえ立つ。

 普通ならそんな時、東西になが~い家にして南庭をたっぷり取り、建物内に出来るだけたくさんの光を取りたい。

 しかし建物の性格上(詳細は省略・・・)、中央に大きな中庭を取って、北側境界から南側境界までいっぱいに建物を建てたくなった。南側いっぱいに建物を建てるということは、当然南隣家のそびえたつ壁のために、部屋が暗くなる。

 そこで、【天窓】・・・。

 右の写真は右側が南で、直射日光がたくさん入って来ているように見えるが、それは1日のうちでとても短い時間。なのに、終日同じようにこれだけ明るい・・・。

 三角屋根の北斜面側に既製品の【小さな天窓】を二つ。天窓の角度が北の空を向く方向になるため、直射日光は室内に入りづらく、わずかに入ってくる太陽光は、写真左の白い壁をゆっくりと動く事になる。そしてその白い壁から反射された光が、拡散して部屋全体を明るくする。

 当然、太陽のない方向の天空(北の空)からの光も室内に導かれる。天窓下の壁を斜めにすることで、その天空からの光の粒子もたっぷりといただく・・・。

 これで、直射日光に苦しめられない【明るい天窓】の出来上がり。小さな既製品の天窓を使い、コストも掛からず、防水の納まりもバッチリで・・・、自然光で明るい部屋となる・・・。

110908003_2 もう一つ天窓を使ったところ。北側に押しやられた階段・・・。

 階段は、南側の明るいところにもって行きたくても、ゆっくりと人がとどまる所ではないため、どうしても北側に押しやられてしまう事が多い・・・。

 高さ方向に長い空間だから、大きな窓が取れず、暗くなりがち・・・。

 そんな時【天窓】・・・!

 今度は、片流れの南に向いた斜面だが、階段室は高さ方向に長い空間のため、床面までは直射日光は落ちてこない。

110908005_2 であるが、前記と同じく、直射日光が壁を走り光を室内に反射させる。また、階段室自体の床面積が狭い事も手伝い、天空からの光は、朝早くから夕方遅くまでたっぷりとそこを明るくする。

 点けっぱなしになり易い階段の照明を節電し、安全で快適な昇降設備の出来上がり。上の写真をご覧の通り。木部に濃い目の塗装をしても、この明るさ・・・!!

 ついでに階段室は、狭い部屋の割に壁の面積が多い・・・。壁面に家具を置いたりする事もないから、壁面を遊ぶという事がやり易い場所・・・。

 右の写真では、2階の西側(写真左)に丸窓を配置。丸いお月さまのような光が、午後になると壁を動く。光のインテリア・・・。(ハハハ、今回は、まったく上手くいったぜ・・・!)

 単純に明るさが取りたいだけの時や、直射日光がほしい時には、別の【天窓】の付け方がある。また屋根裏部屋から眺望を期待する【天窓】もある。

 使い方を誤ると、ただ暑いだけの『不満の温床』のような扱いを受けてしまうが、天からの光は神さまからの贈り物・・・!明るい家は、人も明るくする。日差しを受けて元気よく遊び回る子供の姿を見るのも楽しいし、安い電気代の請求書を見る時も、ちょっとガッツポーズ・・・。

 光をコントロールして、センスのあるインテリアを・・・。昔から日本の家は、明暗を使い分けて、品の良い室内を作ってきた。

 今、【天窓】を悪者にしないで・・・!カッコだけで【天窓】をつけて、夫婦喧嘩の原因(タネ)にしないで・・・!

110908007 平塚・湘南に建つこの家。この日、近くの湘南平の丘の上から、陽の光に輝く江ノ島が見えた。台風のあとの、雲間を割って顔を出す、早朝のすがすがしい太陽に・・・!

 西には、富士が見える。夕方には、夕陽を背にして黒く大きなシルエットを見せる、最高の富士山だ・・・!

 太陽の力は素晴らしい。人を元気にしてくれる。そんな太陽を我が家に導く【天窓】に・・・、感謝しよう・・!!

 ・・・これ読んだら、嫁さんの不満、収まるかな・・・ブツブツ・・・・。2回目の言い訳・・・・・。

 

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