この夏の当ブログへの検索ワードで、ダントツだったのが【天窓・暑い】だった。天窓の暑さで苦労している人は、案外たくさんいるようだ・・・。
去年の6月にスタートした住宅が、ようやく完成する。一昨日、1回目の写真撮影へ・・・。
カメラマンは、いつもの写真家【米田正彦氏】。その米田氏に、月曜の夜の10時に事務所に来てもらい、荷物を積み替えてGO・・・!
何と言っても、事務所から330km離れた、湘南海岸まですぐという現場・・・。もし朝の一瞬の良い光があるとしたら、逃すわけにはいかない。夜を徹して現場まで走り、日の出前、現場に到着・・・。
家族も多く、叶えたい条件がとてもたくさんあったこの家。そこで使った一つの作戦が、【天窓】・・・。
【天窓】の使い方を一つ見せたい・・・(というか、自慢したい・・・・・)。
実は4世代2世帯住宅となるこの家。どうしても面積が大きい・・・。限られた敷地の中に、限りなく平屋に近い、『あまり大きく見えない大きな家』を建てる。簡単に言うと、これが最も大事な【主題】だった。
東西に長いが南北に短い敷地。その南の隣地境界線いっぱいに、隣家の背中がそびえ立つ。
普通ならそんな時、東西になが~い家にして南庭をたっぷり取り、建物内に出来るだけたくさんの光を取りたい。
しかし建物の性格上(詳細は省略・・・)、中央に大きな中庭を取って、北側境界から南側境界までいっぱいに建物を建てたくなった。南側いっぱいに建物を建てるということは、当然南隣家のそびえたつ壁のために、部屋が暗くなる。
そこで、【天窓】・・・。
右の写真は右側が南で、直射日光がたくさん入って来ているように見えるが、それは1日のうちでとても短い時間。なのに、終日同じようにこれだけ明るい・・・。
三角屋根の北斜面側に既製品の【小さな天窓】を二つ。天窓の角度が北の空を向く方向になるため、直射日光は室内に入りづらく、わずかに入ってくる太陽光は、写真左の白い壁をゆっくりと動く事になる。そしてその白い壁から反射された光が、拡散して部屋全体を明るくする。
当然、太陽のない方向の天空(北の空)からの光も室内に導かれる。天窓下の壁を斜めにすることで、その天空からの光の粒子もたっぷりといただく・・・。
これで、直射日光に苦しめられない【明るい天窓】の出来上がり。小さな既製品の天窓を使い、コストも掛からず、防水の納まりもバッチリで・・・、自然光で明るい部屋となる・・・。
もう一つ天窓を使ったところ。北側に押しやられた階段・・・。
階段は、南側の明るいところにもって行きたくても、ゆっくりと人がとどまる所ではないため、どうしても北側に押しやられてしまう事が多い・・・。
高さ方向に長い空間だから、大きな窓が取れず、暗くなりがち・・・。
そんな時【天窓】・・・!
今度は、片流れの南に向いた斜面だが、階段室は高さ方向に長い空間のため、床面までは直射日光は落ちてこない。
であるが、前記と同じく、直射日光が壁を走り光を室内に反射させる。また、階段室自体の床面積が狭い事も手伝い、天空からの光は、朝早くから夕方遅くまでたっぷりとそこを明るくする。
点けっぱなしになり易い階段の照明を節電し、安全で快適な昇降設備の出来上がり。上の写真をご覧の通り。木部に濃い目の塗装をしても、この明るさ・・・!!
ついでに階段室は、狭い部屋の割に壁の面積が多い・・・。壁面に家具を置いたりする事もないから、壁面を遊ぶという事がやり易い場所・・・。
右の写真では、2階の西側(写真左)に丸窓を配置。丸いお月さまのような光が、午後になると壁を動く。光のインテリア・・・。(ハハハ、今回は、まったく上手くいったぜ・・・!)
単純に明るさが取りたいだけの時や、直射日光がほしい時には、別の【天窓】の付け方がある。また屋根裏部屋から眺望を期待する【天窓】もある。
使い方を誤ると、ただ暑いだけの『不満の温床』のような扱いを受けてしまうが、天からの光は神さまからの贈り物・・・!明るい家は、人も明るくする。日差しを受けて元気よく遊び回る子供の姿を見るのも楽しいし、安い電気代の請求書を見る時も、ちょっとガッツポーズ・・・。
光をコントロールして、センスのあるインテリアを・・・。昔から日本の家は、明暗を使い分けて、品の良い室内を作ってきた。
今、【天窓】を悪者にしないで・・・!カッコだけで【天窓】をつけて、夫婦喧嘩の原因(タネ)にしないで・・・!
平塚・湘南に建つこの家。この日、近くの湘南平の丘の上から、陽の光に輝く江ノ島が見えた。台風のあとの、雲間を割って顔を出す、早朝のすがすがしい太陽に・・・!
西には、富士が見える。夕方には、夕陽を背にして黒く大きなシルエットを見せる、最高の富士山だ・・・!
太陽の力は素晴らしい。人を元気にしてくれる。そんな太陽を我が家に導く【天窓】に・・・、感謝しよう・・!!
・・・これ読んだら、嫁さんの不満、収まるかな・・・ブツブツ・・・・。2回目の言い訳・・・・・。