天窓・・・は、暑いか・・・
自慢の天窓にカーテンを掛けた。妻より「暑いね!」という不満が出たからだ・・・。
最近の住宅は、LDKが広い。家族全員が広々とリビングを自由に使う。
母がキッチンに立ち、小さな子供達が窓辺で遊び、父がリビングで釣り具の手入れをし、おじいちゃんやおばあちゃんが、続き間の和室でテレビを見ていたりする。
間仕切りのないワンルーム空間で、家族がお互いの存在を感じながら生活する。やはり良いリビングとは、家族が自然とそこに集まってしまう、そんな空間だと思う。
昔に比べて住宅全体の面積が大きくなってきたってのもあるけど、他の部屋を小さくしたりなくしたりしてでも、LDKを広くしたいという希望が多い。
でも、一つの部屋の面積を単純に大きくしていくと、その部屋の窓から離れたところが暗くなる。特に南北に長い部屋は、北側がとても暗く感じてしまう。
窓もどこにでも付ければいいというものでもなく・・・窓の個数は、予算に大きく反映してしまうし・・・、明るい大広間を作るってのは、それなりに難しいものがある・・・。(もちろん、どこもかしこも明るければい良いというものではない。暗い部分を適宜つくり、部屋の中に物語でも作るように明暗使い分けるのが、設計者の腕の見せ所である・・・。)
天窓を使う。
天窓は、基準法でも3倍の明るさが取れるとしてくれているほど、光を取るには都合が良い。
北側に追いやられがちの階段室などに小さな天窓が一つあるだけでも、早朝から夕方遅くまで、照明いらずの安全な階段になる。(明るくて安全な階段となると、その壁際に本棚を付けたり、踊り場を一工夫して小さな読書スペースにしたりしたくなる・・・。)
広くなりがちのリビングにも、可能なら(2階リビングとか・・・)天窓を使う。10万ルクスの照明器具を天井に付けたようなものだから、小さな天窓1つか2つで、非常に明るいリビングになる。
単純に部屋を明るくしたい時は、部屋の中央に天窓を付ける。窓から入ってくる光の跡を動くインテリアの一つのように使うなら、部屋の北側の壁に近づけて設置する。安定した光がほしいなら、北斜面の屋根に付ける(南斜面だと、直射日光が入りすぎ光量が安定しない。)
我が家にも、リビングの中央に天窓が・・・。夏は暑いかもしれないと思いつつも設計に入れた。
これが良い・・・!
明け方の天からの光は、真っ暗だった部屋に【青の世界】を造っていく(これは言葉では説明しにくい・・・)。昼に入る日差しは、1日のゆっくりした時間の変化を感じ、夕方は遅くまで照明を点ける必要がない。
冬は積り行く雪を下から見る事が出来るし、雲が流れる秋の空をボーっと眺める瞬間も大好きだ。なかなか天窓を通して星は見えないが(天窓に付く夜露や汚れが邪魔をする・・・)、満月の月夜は、リビングが月の世界になったようにさえ感じる。
南斜面の屋根につけたが、おかげで冬の日中は暖かく、夏も風通しの最も良い場所だったせいか、今まで私は、あまり暑いと感じた事はなかった。
しかし、『暑いね!』という意見が上がった・・・。フッと見ると、妻がワークスペースにしているデスクに、直射日光が当たっている・・・。今年もエアコンを使わない2階リビングの一角。いくら風通しが良いとは言え・・・そりゃ、暑そうだ・・・。
つまり、天窓の配置には、十分な検討がいる。夏にダイニングテーブルやワークスペースに直接日光が当たるような計画は、いけません・・・(設計した時は、そこは植栽がくるつもりだったんですが・・・)。
まっ、そこでカーテン登場!天窓の四隅にフックを付け、あまっていた布でフワッとカーテンを付けた。今回は遮光が目的ではないため、暗くなり過ぎないように、薄めの生地で・・・。秋になり暑さがひと段落したら、ハズしても良いし、垂らしておいても良い。
なんとなく山小屋風のリビングの天井が、ちょっと海の家のような感じになったかも・・・。季節を感じるインテリアって、こういう事じゃないかとも思う。
これは設計ミスか・・・。妻とは言え、設計時に「暑いよ!」と言う事は説明している・・・。でも、非常識な程度でなければ、暑さは生活の工夫で吹き飛ばしてほしい・・・。
気づいてないかもしれないけど、暑さの苦労の何倍も、この天窓は、この家とこの家族のために、すばらしい情景と微笑みのある時間と空間をもらたしてくれているんだ・・・と言い訳した・・・ブツブツ・・・・・。