ゆっくりとすすむ時間
東日本大震災の影響で1ヶ月ほど遅れているが、「寺田縄の家」の工事が進んでいる。
昨日も早起きをして現場へ向かった。
330kmの道のりも慣れたもので、あっという間に感じる。朝の9時過ぎには現場に入れるんだから、気軽なもんだ・・・。(高速1000円が終わったら、こういう気持ちにはならんのかな・・・。)
屋根が掛かり、開口にサッシが納まり、断熱が終わり・・・。ここまでくると、頭の中で何度も何十回も想像した建物の形や光の変化が、理想の通りになっていくのを感じる事ができる。
まだ施主様には出来上がりの状況が想像できないかもしれないが、設計者としては、「しめた!」「やった!」と思う時期である。
上の写真は、2世帯住宅のご両親側の棟。敷地の形状から、南隣家いっぱいに近づけて建てられるため、南からの光は期待できない・・・。南の窓は通風だけを期待し、太陽の光を天井から取り入れ、北壁に反射させて柔らかく室内に戻す・・・。
うまくいっている・・・!「しめた・・・!」と思った瞬間である・・・。
前から見てあまり大きく見えない事、という施主の思い・・・。奥には立派な2階があるのに、前から見たらどう見ても平屋・・・?なんていう工夫も大成功!これも、「やった・・・!」と思った瞬間・・・。
外壁は、これからモルタルが塗られる。
もちろん工期があるとか無いとかも関係してくるのだが、現場に顔を出した時、その場所が整然と片付いており、職人さん達の落ち着いた表情と、なんとなくゆっくりと進んでいる時間を感じると、グッと安心する。住宅の現場は、こうでなくちゃ・・・。
確かに間取りや仕掛けを考えるのは設計者・・・。でも作るのは大工さん。大工さんが心を込め、楽しんで造らないと、良い建物にはならない・・・。
だから、大工さん達にも「おぉ!」っと思ってもらいたい。そして自分の家を作っているような気分で腕をふるってもらいたい。そんな建物にならないかと、いつも思っている。
今回の大工は、学生時代の親友。進む方向はある意味違ったが、未だにいろんな考えもハッキリ言い合える・・・。
そんな彼が、「自分の家を作っているようだ・・・!」と言ってくれた。「しめた・・・!」と思ったし、正直うれしかった・・・。
施主様の家だけれども、それを造る大工と設計者の間にも、こんな心の掛けあいがある・・・ブツブツ・・・・・。
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