来年のための倒木
今回の宝物は、キャッスルマウンテンの頂上ちかくにある。その輝きは、400カラットの原石から掘り出したという伝説ダイヤモンド【ルイカルティエ】にも勝るとも劣らない・・・。
大将ラゲッティの顔の広さ・・・面積の事ではない・・・人望と常に前向きで献身的な人柄によるお付き合いの広さだ。(海賊のドンとは思えない表現だが・・・)まったく、恐れ入る。
今回船を運んだのは、四日市市内の住宅街の中にある緑地公園。ラゲッティがここの公園管理からの依頼を受けたもので、公園整備のための不要樹の伐採・・・。
そこにある樹木を片っ端から伐採と言う訳ではないため、残さなければならない樹木を傷つけないように・・・。空中に縦横無尽に生える枝の動きを精密に計算し、「ここしかない!」という方向に、その年輪の深い太い身体を倒さなければならない・・・。ラゲッティが簡単にやってのけたその作業は、素人では出来ない匠の業だ・・・。
倒木の前、彼はその大きなナラの樹皮に白いチョークで正確にマークを付け、おもむろにハスクバーナのヘルメットを外した。これまでこの山を守り、そしてこれから薪となって我々家族の来年の暖となってもらうことへの、感謝の礼をする・・・。
もう一度そのナラの木を見つめた彼は、再びゆっくりとヘルメットをかぶり直し、防護シールドを下ろす。慎重に、しかし手早く入れられるチェーンソー。公園管理のオジサンの見守る中、樹高12m・幹径60cmを越えるそのナラは、一瞬で思惑の方向へ倒れていった。
4人で約2時間、枝打ち、玉切り作業に没頭する。寒波により各地で雪の被害が出る寒い日であったが、すぐにサングラスが汚れて見えなくってしまうほど汗を掻いた。冬はこれに限る・・・。
切ったばかりの木というのは、もちろん含水量が多い。ナラのような広葉樹だと70%前後と言われ、杉のような針葉樹は100%を越える。(ちなみに、木造建物の構造用建材として使うものは、含水率20%以下まで乾燥させて使う。造作材は15%以下程度。)
水分が多いという事は、チェーンソーで切った時のオガクズも湿気を帯び、サラサラではない・・・。長い時間使っていると、この湿ったオガクズとチェーンソーから出るオイルが混じり、機械の内部にこびり付いてくる。
この日は、朝からチェーンの回転に今一つ爽快感がない。最後にチェーンがバンっ!と外れた・・・。危険だ・・・。ケガはなかったものの、刃とガイドバーがイカれてしまった・・・。
手入れ不足が原因・・・。スプロケット廻りがドロドロだ!毎回内部の掃除をする必要はないが・・・。径の太い堅木をバンバン切るなら、チェーンにもずいぶん負担が掛かっている・・・。細かな手入れは、命を守る事になる・・・。
昼過ぎ、自慢の船にまたたっぷりとお宝を詰め込む。グッと沈み込んだサスペンションに不安を感じながら、その小さな山を降りた。
今回もずいぶんたくさんの山分け分をもらったつもりだったが、アジトに帰って下ろしてみるとこの程度・・・。う~ん、やっぱり軽のワゴン(自慢の船の事・・・)では、この程度しか積めないのか・・・。
こうなると、例えば1.5tくらいのトラックがほしいなぁ・・・などど思ってしまう・・・。チェーンソーもほしいし、専用ヘルメットなんかも・・・。(今シーズンから、我がグループも全員ヘルメット着用し、安全作業に気を付けています・・・海賊ですが・・・・・。)
薪ストーブ。光熱費のいらない暖房器具・・・。長い時間、二酸化炭素を吸って酸素を出してきた樹木たちは、燃料として燃やしても、それ以上の不要な二酸化炭素を放出しない、とても環境に優しいもの・・・。
ただしこれ、なかなかの重労働が伴う。シニヤサッカーや野球のような【オジサンの趣味】にならないと続けていくのが難しいが、【趣味】だと思うと、財布からいらぬ出費が放出する・・・。その出費は、・・・光熱費より多いかもしれない・・・・・?
でも、この火はやめられない・・・ブツブツ・・・・・。