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みんなのたてもの

100513001_4 昨夜は、勉強会。今回は私自身がスピーチというか、講師というのを依頼された・・・。疲れた・・・!

 独立してから、大勢の前でしゃべるってのが少なくなった。まして、決められた時間を、何らかの意図、あるいはストーリーを持ってしゃべるってのは、結構大変だ。

 依頼された時は二つ返事でOK。しかし、「設計者としての考え」なんちゅうタイトルを与えられたんだけど、よく考えたら同業の方々の勉強会。「そんなこと、いまさら教えられてもねぇ。あんまり価値のない勉強会だった・・・。」なんて言われちゃ困る・・・。同じ建築家やインテリアコーディネーターの人々に、なんか勉強になる事なんて・・・。

100513003_3 と悩んで、結局、20代の最後の時間を過ごした大好きなスペインの話でつかんで、自分なりの設計へのこだわり・・・へと話を持っていくことにした。(薪ストーブ話にしようかと思ったけど、あまりにマニアックになってしまいそうで・・・誰も聞きたかないか・・・・・。)

 印象的なスペインの風景の写真を何枚も出し、渡西の理由のは?というところで、将来独立するときに、「何か自分だけの特別な個性を持ちたかった。」と話す。「地中海の建物のスタイルは日本人ウケが良いから、そのスタイルを持ってくればいいかなんて思ったんですが・・・・・。」

100513004_4 しかし、渡世して実際にスペインの建物を見て、いやスペインの人々に会い、スペインの気候を感じ、スペインの歴史に触れ・・・・・、このいい加減な動機は、すぐに反省せざるをえなくなった・・・。

 この土地、この気候、この文化・習慣、この人々。全ての事柄が入り混じった上で生まれてきたこれらの建物。形だけ日本に持っていっても、ただのハリボテにしかならないじゃないか・・・。

 スペイン人を思い浮かべると、笑っている顔ばかりが出てくる。別にヘラヘラしているんじゃない。心の底から、生きる事を楽しんで笑っている。

100513006 彼らは、街に出ている。街の中心街ってことじゃなくて、住宅街でも。街のそこここでおしゃべりをしている。挨拶をしている。オラ!ブエナ!コモエ・・!ケパサ!

 この国に住まう人々の、明るくて優しくてイキイキとした生き方。日本に比べて決して経済的に豊かというわけではないのに、人にも街にもある種の活気があり、人々の心には余裕がある。

 そこで、スペインに滞在できる限られた時間は、この素晴らしい文化や習慣、気候にどっぷり浸かり、その上で成り立っている建築文化を肌で感じる事に専念しようと考えた。

100513008 元々彼らは農耕民族である。キリスト教がレコンキスタ(国土回復運動…キリスト教が800年を費やしてイスラム教から国土を取り返した・・・?)以降に羊を放牧させる文化を持ち込んだが、それ以前のイスラムの時代は、土地を開拓し、大地に根づいた農業がとても発達した。土地の開拓はドンドンすすみ、今では国土の大半は開墾の跡がある。

 男たちは、大勢集まって村から遠く離れた畑へ向かう。それこそ一度畑に行ったら、2泊3泊をすることになる。広大な畑の一部に建てられた農業小屋は、彼らの宿泊小屋でもある。

100513009 女子供や年寄りたちは、部落に集まって住む。互いが支えあい助け合いながら、守りあいながら村という単位で生きていく。

 各家には、敷地境界線なんてない!どころか、家はみんな繋がっている。一つの村は、一つの家とも言えるのだ!

 そのことで、家は個人個人の勝手な建物ではなく、例えば外観などは、村の他の人たちと共有のものとして存在している。

100513010100513002_6 有名な、白い村の壁にたくさん掛けられた花の鉢。それらも、決して自分勝手に外壁を飾って遊んでいるのではなく、街の美化と地域への責任感という意味が根底にある。

 今の日本は、どうだろう。住宅街に人が歩いていない。立ち話も挨拶の声も聞こえない。隣の人は誰ですか?隣保の人でも名前もしらない。四方の境界線にハッキリとした塀を築き、この塀から内側は「見るな!入るな!ゴチャゴチャ言うな!私の勝手でしょ!」って家が多くない?

 もちろん、文化・風土の違い。歴史と習慣の違い。どちらの国も、都会と田舎では違う。だたし、わが日本も、ばあちゃんの時代までは、もうちょっとスペインに近かったような・・・。

100513005_2 帰国し、いろんな修行をし、自分の設計事務所を立ち上げて、設計計画の上で気を付けていること、【こだわり】がある。

 「施主様の希望や考えを最大限に取り入れ、コストや施工性等を検討することはもちろんですが、建物が自分勝手に自己都合のみでデザインされることなく、その土地と、その建物と、そしてそこに住む人の、地域との繋がりを十分に考慮することにも重点を置きます。地域にとってのそれらの役割を考えます。」

 ってなことを話した。いや、要所要所に笑えるコネタを入れながら・・・・。

 しかし、話すって難しいよね。聞いてる人がアクビをするような話じゃいかんし、だいたい時間が全くうまく合わない・・・。与えられた25分に対して、はしょってはしょっても40分掛かっちまった。最後は無茶苦茶早口でね・・・。で、なんか大事なこと言ってないような・・・・・。

 まっ、聞いてくれた人のブログでは褒められていたから、いいでしょ!しゃべりのプロじゃないしね・・・・ブツブツ・・・・・。あっ、しゃべるのも仕事か・・・・・。

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03.スペイン大好きブツブツ」カテゴリの記事