俺たちの卒園式
6年前に生まれた息子がついに卒園。これで3人の子供たちがすべて無事【幼稚園時代】を終えることになった。
朝からハイテンションの息子達。幼稚園児の卒園式なんて、バタバタとして落ち着きなく、集中力なく、まぁ正直、それ自体はそれほど大きな感動もないかな・・・と思っていた。
ところが今年は一味違う。卒園証書授与。一人の子が大声で泣き出した。ンッ?父兄と一緒に参加している幼児かな・・・?
中央にハンカチで顔を覆っている男の子の背中。でも、明らかにキャラが違うぞ。いつも元気な少年。いや・・・、やっぱり彼か・・・。
意表を突くあまりの大泣きをなんとか落ち着かせようと、先生が一生懸命背中をさすっている。しかし、その子の高ぶった感情はどんどん増していくようだ。そしてその声もどんどん大きくなっていく・・・。
雄たけびと涙は、長い証書授与式で集中力を欠いている園児達の純粋な心を揺り動かし、破れかけたストッキングのように一瞬で皆に伝染していった。
あれ?ウチの息子も泣いているじゃねーか。なんだか大人見たいに目頭を押さえて、ぐっと涙をこらえてやがる。オイオイ、大事な歌も歌えてないぞ・・・!
涙は、もちろんそれを見た母達にも伝染し、今日の日のために飾り付けらた遊戯室は、なんだか大きな感動で包まれている。あぁ思えば、上の子から数えて7年間の園生活。つまり、親だって、今日が卒園式なんだ。
父兄たちの園への参加・ボランティアの多かったこの幼稚園。苦労が多ければ、思いも強かった。
子供たちの個性を消さない園風。授業にカリキュラム的な物はなく、その日何をするかは、その日に園児達が自分で決める。親たちのいろいろな園活動への参加は、子供たちに働く親たちの背中を見せること、子供たちの全く自由な生活の後ろに、多くの大人が見守っているんだということをちゃんと感じさせることだったように思う。
今どき、お弁当さえも父兄に作らせない園が多い中、運動会やバザーの段取りはもちろん、裸足で田んぼに入って子供たちの世話をする等の各種体験授業のお手伝いもあった。いや、荒地の開拓をし、チャーンソーで立木を切り倒し、山の小川から簡単な水利工事をしてその田んぼそのものを作り出すなんていう芸当もあったっけな。
子供たちは園の中で、もちろん子供同士の横の繋がりをつくる。先生たちのやさしい指導の中で、縦の繋がりを知る。そして、自分のため必至の汗を流す親たち、大人たちの背中を見て、感じて、横でも縦でもない3次元の、自分たちを包み込む社会を理解する。
少々親の苦労が多いぞっと聞かされていたこの幼稚園だったが、最後の日、子供たちの卒園式の日、いや大人たちの・・・私たち夫婦にとっての卒園式の日に、あらためてこの価値ある子育ての時間を過ごさせてもらった事を感じた・・・。涙が出た・・・・・。
ありがとう、子供たち。ありがとう、幼稚園・・・・・。
卒園式の後は、卒園パーティ!!外観はなんだかあやしいたたずまいの倉庫バー。元倉庫なだけあって、非常にひろい。
ここで、有志の園児と家族約100名の飲み放題・食い放題パーティーを行った。
そう、「飲み」とはもちろん【おしゃけ】・・・・・。
小さな子供を持つ家族にとって、多勢で子同士・親同士が交流する【おしゃけ付】飲み会は、なかなかむずかしい。特にエネルギーの有り余る幼児園児達。じっとしておけるわけがない。
でもここは、飲み放題・食い放題だけではない。全力で走り放題なのだ・・・!!
おしゃけは、ビールもカクテルもOKだし、なんたって、その暴れん坊の子供たちの事は、全くお構いなく、仲良くなった家族たちがガンガン飲んで騒げるところ・・・。
上の子の時にノリで計画したパーティーが好評で、次の子、そして下の子と、結局今回も幹事をすることになった。
段取り・進行が難しいなぁ・・・・なんてウソ!!子供たちのエネルギーは素晴らしいのだ。園時代のビデオと写真、子供たちが口ずさめる音楽と天井のミラーボール。打合せもリハもなくても、2時間半のパーティーは、彼らの絶叫と熱唱が続き、最高に盛りあがった。
彼らにとっては、3年間の園生活の最後の2時間半。父兄の方々にとっては、おのおのの思いのこめられた2時間半。十分満喫してもらったと思う。
そして、われわれ夫婦にとっては7年間の園生活の、最後の2時間半。とくにお母さんは、よく頑張ったよね。
あぁ、楽しかった・・・・・!もうひとり出来たら、またこの幼稚園かな・・・ブツブツ・・・。
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