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2009年12月の3件の記事

大工の家

091222001 友人の大工が、自分の家を建てた。初めに相談というか、建てたいんだという話を聞いたのは3年以上も前だった。着工までは、比較的スムーズに1年くらいだったと思うが、完成には、それから2年以上を費やした。大工だからである。

 今朝から見学会をやるというので、あいさつがてら見に行った。基礎や建設途中から何度となく現場を見ているのであるが、「いつ住めるようになるんだぁ!」という気長な工事であった。

091222002_2 なかなか気合いの入った芯のある大工。大工としての誇りと意地で、ローコストではあるが、こだわり抜いた【自宅】がほしかったに違いない。訪れるものを驚かせ、そして感心させる【家】が出来た。

 日本男児らしい気概のある男だから、純和風かと思えば、そうでもない。ただし、和の風格のいいところは、たっぷり入っている【木の住宅】だ。

 さすが、大工。いったい何種類の木を使っているのだろう。聞いただけでも10種類は越えた。無理に良い木を使っているのではない。大工という仕事がら、いろんなところで安く手に入る良質材を、その場所と機能を使い分けながらメリハリを効かせて利用していく。紙の上で建築をする我々には難しい芸当かもしれない。

091222004091222003 大きな引き戸の玄関扉をあけると、広い客人用と家族用の上がりガマチの向こうに、居間・キッチンが見通せる。立地条件や、実際に住む住人の考え方にもよるが、この建物は、玄関の外に広がる【近隣と地域】に対してオープンである。閉鎖感がないということ。建物とは出来るならばこうあるべきだと思う。

091222005_3 狭い土地に高い塀を設け、門を設け、自分の土地の境界線をハッキリ示しながら、「ここから先は、私の家だから、見るな、触るな、口出しするな!」的な主張を見せる家がある。カメラ付きインターホンで来客の様子を確認してから、気に入った人だけ家の中に招き入れるような家がある。煮物のおすそ分けもやりにくい・・・(わかりにくい例えでした)・・・。

 大工さんは、自分の家を造るのは難しい。良いものを知りすぎているし、自分の家を安っぽいものにも出来ないし、また自分の家を造り出すと、その期間は支出ばかりで収入がないことになってしまう。(これは設計士だって、ある意味同じだけど・・・)

 彼は、その葛藤を、ゆっくりと、そして確実に形にした。

091222007_3 一部の写真を、彼に断りなく勝手に載せる。許可も取ってないし、個人住宅なので、たくさんは紹介出来ないが、ともかく今日は久々に良い感動を覚えたので、少し出したい。

 しかし、この家は、家具が入り、実際に生活が動き出さないと、本当の良さは見せられないだろう。建物その物が住人と共に生きているから。

 今週引っ越しをするが、仕上げていない部分もいくつもある。和室の壁のジュラク塗りも、実はまだ中塗までしかしていない。1年は中塗状態で乾かさないと、スキが出来るから。

 建物とは、住み始める瞬間が完成形ではないのだ。住んで行く過程の中で、家族と一緒にどんどん成長していく。これは、そんな理想の住宅なのだ。

 大工の名前は【甲斐靖則】。四日市市西伊倉 甲斐建築設計。

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笑う門には、良いことあるよ!

091219001 先日、配筋検査で伊勢に行って、平日の伊勢神宮にちょいと参拝。

 1月に入ると、年間の観光客の1/3がこの2,3週間に押し寄せるってぐらいギュウギュウに混雑するが、12月とは言えどこの時期の平日ならガ~ラガラ。

 早朝のまだ夜露が落ちるくらいの時間だと、砂利を踏む自分の足音が静かな深い森に響き渡り、幻想的なひとときを感じることが出来る。しかし、この日のように晴れた冬の日中でも、十分にすがすがしい清涼感を感じることができた。

 森はいい。なんとかイオンで、心も体もスッキリだ!あぁ、あの木はモミジかなぁ。あの木はカシワかなぁ。あの木はコナラかクヌギかなぁ。何日分の薪になるかなぁ・・・って、いかんいかん、聖なる木々が、我が家の薪になっている・・・。この、バチあたり者!!

091219003_2 平成25年の遷宮(伊勢神宮の建て替え)を前にして、先日【宇治橋】の掛け替えも終わった。ヒノキとケヤキで作られた全長102メートルの木製橋。聖なる川【五十鈴川】を渡る。ガキの頃からかぞえたら、何百回渡ったんだろう。五十鈴中学校の卒業生だからね。思い入れ深いよ。

 ついでに、伊勢神宮内宮前の「おかげ横丁」で【しめ縄】を買っ091219004てきた。【笑門】と書かれたものが妻のリクエスト。「神具といえば伊勢の宮忠」でゲット!

 伊勢の生まれだから、ガキの頃からこの【笑門】と【蘇民将来子孫家門】の玄関しめ縄を見ている。伊勢ではこれを一年中ずっと玄関に飾るっていう風習があるから、別に特に珍しいものとも思うことなく、生きてきた。

091219005 大人になって、なるほど年中玄関にしめ縄を飾るってのは珍しいんだと気付いた。建築なんてやってるんで、この文字も意味も何度も聞いた気がする・・・。しかし、覚えたことが一度もない・・・。やっぱりバチ当たりな奴だ。

 スサノウのミコトが旅の途中で宿を探していたところ、ある兄弟がいて、お金持ちの弟「巨旦(キョタン)」はスサノウの小汚い姿を見て拒絶し、貧乏人の兄「蘇民将来(ソミンショウライ)」は、スサノウを迎え入れ、出来る限り最大のおもてなしをした。

091219002 ちょうどそこへ疫病の噂が広まり、スサノウは蘇民将来の玄関先にお札をつけ、蘇民将来の家だけが疫病から逃れる。それ以来、【蘇民将来子孫家門】と書いた札を玄関先につけると災いから逃れられ、家族が健康になると信じられている。(ちょっとイジワルだよなぁ、スサノウさん。イコジっていうか・・・。公私混同激しいよな。)

 ここの【蘇民将来子孫家門】が【将門】となり、それが平将門さんに通じて痛み入るという事で【笑門】になったとか。平家は伊勢にゆかりがあるから、なるほどうなずける。まぁそれに【笑う門には福来る】なんていう諺がからんで、今の風習ができたんだろうけど・・・(想像)・・・。

091219006_2 笑うっていいね。毎日言う事を聞かない子供たちに怒鳴り散らしているオヤジだけど、その時は、どうやって次の笑顔を見せてやろうって考えている。気が小さいから・・・。

 笑ってばっかりじゃ駄目だけど、緊張感の後の笑顔には、人の心を本当に安堵させる。そして、子供たちの笑顔に安堵させられる。そして幸せな家が作られる。

 【笑門来福】。笑う門には、福来るだね。笑お・・・ブツブツ・・・!

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クヌギかコナラか どっち?

091207001_2 2年くらい前かな。山の知人が、拾ったドングリを小さなビニールの鉢に入れてくれた。庭に植えた。そしたら、こんなに大きくなってしまった。

 紅葉している。朝の光を浴びると、とてもキレイだ。

 ドングリがちゃんと育つなんて思ってなかったから(育つのは当たり前なんだが・・・)、後ろにあるシマトネリコの足元に植えてしまった。このまま行けば、シマトネリコも、いやこの花壇さえも破壊してしまう。20年くらい経ったらね。

 しかし、これクヌギだと思っているんだが、本当は何だろう。木の名前って、なかなか覚えない。意外と見分けのつかない木って多いのだ。

 いつも薪を伐採するため山に入る。理想的な薪として、コナラやクヌギがもらえるととても喜ぶんだが、実はコナラとクヌギの違いがよくわからない。樹皮なんて、そっくりだもん。

091207002kunugi_2091207003konara

 左がコナラで、右がクヌギ。他にカシワやアベマキなんて木もそっくりらしい。どれもブナ科コナラ属らしいので、まぁ、みんな兄弟か。だからソックリでも仕方がないが、山に入る人間として、コナラとクヌギぐらいは、カッコつけてパッと違いを言ってみたい。

 調べると、コナラは白黒のシマ模様の裂け目が特徴で、クヌギの方は白っぽくて裂け目が深いらしい。しかし、ようわからんぞ・・・。

091207004kunugi_2091207005konara でも、実は、葉やドングリに違いがあるので、よく見るとわかるらしい。左がコナラの葉で、右がクヌギ。コナラは葉先に近い方で葉幅が太くなる。クヌギは葉が長細い。

 ちなみにカシワは、カシワ餅を包むのに使うから少し見慣れているが、手のひらのような優しいヒダがある。アベマキはクヌギとよく似ているが、裏に白い毛が生えているらしい・・・。

 コナラもクヌギもどちらもシイタケの原木になるし、カブトムシの幼虫も育てられる。

 薪としては、どちらも火付きは悪いが火持ちもいいし、安定した火力があり、煙が少なく、置き火もできやすい。最高だ!

 こんな事を書きながらいろいろネットで調べていると、ケッコウこれらの違いについて書いているブログやHPも多い。へぇ~、ケッコウいろいろ違いがあるんだ。覚えられんけど・・・。

091207008keyaki_3091207007kusu_3 ちなみに、我が家には大好きなケヤキも植えてある。まぁ、まともなケヤキを植えると地上何十メートルにもなるんで、株立ちですけど。

 薪にするんじゃなくて好き嫌いで言うと、ケヤキ(左)って木はいいね。カッコいい!絵画のようなキレイさがある。しかし、最近クスノキ(右)の雄大さ、フトコロの深さにも大いに魅力を感じてしまう。あぁ、デカい庭がほしい・・・・・! 

 さて、うちのドングリの木は、いったい何なんだろう。葉が長いのでクヌギだと思っているんだが、葉先の方が葉幅が広い・・・。これはコナラの特徴ではないか。

 彼が大きくなったら、ワリーけどウチの薪にしよう。早く大きくならんかなぁ。でも20年、いや30年くらいかかるか。それで、1か月分くらいの薪・・・。割があわんなぁ・・・ブツブツ・・・。

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