ちょっとライニングでも・・・
外出先から帰り、手や顔を洗ってうがいをする時、外したメガネをちょっと置きたい。マーボー豆腐を作っていて水溶き片栗粉を小皿に半分入れるとき、その小皿をちょっと置きたい。公共のトイレに入る時、持ってるカバンを、自分に近くてキレイなところにちょっと置きたい。
そんな【ちょっと】を実現するもの。ライニング。
ライニングなる言葉をGoogleで検索してみると、なんだか難しい意味がたくさん出てくるが、今言うライニングの意味は、設備配管スペースの事。
水道管や排水管の設置を床下から直接上げるのなら問題ないのだが、洗濯機用の蛇口を壁から出したり、壁にブラケット式の洗面台を設置したりするときなど、むろん配管スペースを壁の中に取らなければならない。実際に、そういうことってたくさんある。
ただ良く考えてみると、木造住宅などでは、たいてい壁の下には梁や土台がいるハズ(なければ問題かも・・・)。単純にそこに配管を立ち上げようとすると、構造上もっとも大切な梁や土台を大きく欠き込む事になり得る。そんなバカな事しないだろうと思いたいが、計画が悪いと、ごく稀に不心得な水道屋さんによって、完成すると見えなくなっていしまう梁や土台、柱等に、大きく穴をあけられてしまう事がある。
水道管なら水圧を利用することで、経路は長くなるけれど天井裏等を通して管を上がったり下がったりさせて配管することは可能だ。しかし排水管となると、重力を利用するので、配管経路は実に制約される。
そんな時、足元の梁や土台に干渉しない所まで壁を前に付加す(厚くする)ことがある。パイプスペース(PS)と言われる部分。その壁を、天井まで上げないで、必要なところまでの高さとして、その上に棚のような、台のような部分を作ることを、ライニングと呼んでいる。
確かに部屋の面積としては、壁を前に出した分だけ減ることになる。でも実際には、【ちょっと置ける場所】が出来ると、その場所の使い勝手がぐんと上がり、逆に広くなったように感じることさえある。
そんなライニング。
この間設計をさせていただいたM邸でも、キッチンにライニングを計画をしてみた。
実は、このキッチンの形状や位置から検討すると、ライニングは不要だった。
でも【ちょっと置ける場所】を作ること。
たとえば、庭に咲くタンポポを一輪摘んで、七味唐辛子が入っていた小さな空き瓶に入れて飾る、そんな場所を作ること。それだけで、生活が楽しくなるかも・・・。
そんな小さな事を考えるのが、設計の醍醐味である・・・かも・・・ブツブツ・・・・・。
| 固定リンク
「01.建物好きブツブツ」カテゴリの記事
- 先人の言葉がしみる(2019.06.17)
- 御所の応接室(2017.11.06)
- アラブから見た日本(2017.08.08)
- 夏はエアコンを点けっぱなしにする?(2017.07.25)
- ただ気になるだけ(2017.05.04)