グラナダの山奥で・・
この間、テレビ東京系の番組「世界を変える100人の日本人!」で、100人の一人として紹介されたフランス在住で世界的バレリーナの【竹島由美子さん】。世界中のバレリーナの80%が彼女が作ったレオタードを一度は着た事がある、という。
つい最近、名古屋の建築家で私の高校の先輩にあたるN氏に彼女の話の断片を聞いたばかりで、「なんて名前の人だったかなぁ?」なんて言っていたんだけれども、偶然にもすぐにテレビ紹介されてビックリ。こんな事もあるんだな。
竹島さんは、本業のバレリーナの仕事の傍ら、バレリーナ自身の目線で着心地が良くておしゃれなレオタードを作って、それが世界に爆発的にヒットとしてしまったとの事。
それらのレオタードはすべて彼女本人の手仕事で作られていた。もちろん今となっては、年間数万着の生産量となっており、現在の彼女の工房(工場)はスペイン・マドリッドにあるらしい。
もう十数年前になるけれども、私の師匠(?)の故永川玲二氏とスペインじゅうを旅している時、グラナダの山の中で、バレェシューズを作っているという日本人の方を紹介された。
「なんでみんなスペインでバレェなんだろ?」という疑問が湧くが、まぁそりゃ知りません。偶然でしょう。
でも実は、スペイン人の家内製手工業の腕前は素晴らしいものがあるという事実は、ヨーロッパでは結構有名なのだ。物作りといえばイタリアというイメージがあるが、それはイメージ宣伝が上手かっただけ。昔から地中海を取り巻く文化圏の人々は、手先が器用で、勤勉なのです。
この方の名前はもう忘れてしまった。どっかに旅の日記があるはずだから調べればわかるだろう。(仮名)小野さんとしておこう。
小野さんも若い時にヨーロッパに渡りいろいろな苦労をされて、何かの偶然でバレリーナ達が良いシューズがなくて困っているという話から、スペインの片田舎でシューズを作ることになった。私が訪ねた当時では、ヨーロッパ中どころかアジア・日本を含む世界中に小野さんのシューズが欲しいという要望があり、輸出をしていらした。
そんな小野さんには、このバレェシューズの件でいろいろ悩みがあるらしい(当時の話)。やはりそんなに儲かるものでもないし、想像以上の大変があったのでしょう。
グラナダの山奥、シェラネバダ山中の小さな小さな村で起こした事業。それがすでにこの辺一体でもっとも大きな企業となっており、村人のほとんどが彼の工場で働き、逆に彼がこの商売をやめようと思っても、止めてしまったら村中の人々が路頭に迷う事になってしまう。
この時代にスペインに渡った人だから、たしか彼もまた何かの芸術に対して夢と希望を持っていたんだと聞いた気がする。企業のトップになるために渡西した訳ではない。食うために頑張ったんだけれども、思わぬ方向に人生が引っ張られていった。
小野さんもこの当時アラウンド40くらいだったと思う。40歳前後ってのは、人生大変だよ。しかし、彼もまた私なぞにとっては只々尊敬してしまう人物だ。
素晴らしいではないですか。多くの人々の幸せを作っている。消費者も、従業員も、それらの家族も。そしてそれらすべての人々に対して、大きな責任を持っている。
「世界を変える101人の日本人!」って番組なら、必ず101人目のジャパン・オールスターズに認定されるでしょう。
・・・ちなみに写真に写っている車は、小野さん自身の車。ご自宅に行くのに羊の群れの中をかいくぐらなければならんのですから・・・。どれだけ田舎なんだか・・・。
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