« 満月の明るさ | トップページ | 生でラジオで、マノ・ア・マノ »

外尾悦郎さんの言葉

090421001_220代の最後の3年間をスペインで過ごした。帰国してもう11年になる(2009年現在)。

それから日々を必死で生きているが、あれ以来、一度もスペインを訪れる事ができていない・・・。

渡西中は、まだ20代で中身が何にもないカラッポの人間だったのだが、幸運にも本当にいろんな方とお話する機会をいただいた。

そして、カラッポだったおかげなのか、先輩方からたくさんの素晴らしい言葉を頂戴した。

忘れらない言葉の一つが、外尾悦郎さんの言葉だ。

外尾さんは、今から30年も前、20代中盤で単身スペインに飛び込み、唐突にガウディのサクラダファミリアの彫刻集団の門を叩いて、『彫らせてくれ!』と言ったそうだ。

スペイン人は寛大で(異文化の侵入に対して寛容で)、突然東洋からやってきた若者を真摯に受け入れ、テストした。そしてその腕を信頼できるとして、バルセロナの誇りとも言えるサクラダファミリアの彫刻の仕事を与えた。

そして今や彼は、世界で最も有名と言っていい程の石の彫刻家、マエストロとなっている。

090421003_2外尾さんにお会いできたのは、私が28歳の時だったか・・・。師匠・永川玲二先生に連れらせて、バルセロナの外尾さんのお宅を訪ねた。赤福が大好きと言ってくださった奥様でピアニストの比石妃佐子(ヒセキヒサコ)さんと、確かまだ小学一年生くらいだった娘さんも温かく迎えてくれた。

彼は40代で、主任彫刻家となっていた。郊外の広いご自宅には専用の彫刻室があり、すでに指導者として高い地位を得ていた。

090421002_2ビールやワインをさんざんいただき、手料理もたらふくご馳走になって、若輩の私は只々平伏しているだけだったのだが、失礼にも酒の勢いで、『こんな高層建物を石で作るなんてさっぱりわかりません!鉄筋とか入れるんですか?』なんて聞いてみた。いや、もう覚えていないが、もっと失礼なこと言ったような気がする・・・。

外尾さんは、そんな私に一言、『石の心を理解しなさい!』と言った。そして、建築を志す私の未来への不安や戸惑いなど、とても良く聞いてくださり、意見してくださった。素晴らしい夜だった。

【石の心】は未だに理解出来ないが、その時の外尾さんとほぼ同じ年齢になって、彼が何を言いたかったのか、少しだけわかるようになった気がする。

石であろうと木であろうと、その物があるべき姿にしてあげればいい。目先の技術にとらわれず、自分の心でその物の心を見てあげよう。

ん~・・・と、書いてみたが、文章にするとイマイチよくわからんな。この歳になっても、やはり中身のカラッポ加減はあんまり変わっていないようだ・・・。

そんな感じ・・・ブツブツ・・・・・。

|

« 満月の明るさ | トップページ | 生でラジオで、マノ・ア・マノ »

03.スペイン大好きブツブツ」カテゴリの記事