ぺぺおじさん
TIO PEPE(スペイン語で【ペペおじさん】という意味)という酒がある。シェリー酒である。ブログの事を考えていたら、そのうち酒の事を考えるようになり、そういえばしばらくシェリー飲んでなぁ、なんて喉が渇いてきた。
シェリー酒とは、本当の名前を【へレス】という。って、何が本当なのか知らないが、スペインのアンダルシア地方カディス県の【ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ】という町と、その周辺の町のみで作られる少し独特な白ワインの事だ。飲んだ事がある人は多いと思う。しかし、これは旨い!と本気で思った人は何人いるだろうか?
日本では食前酒として有名らしい。素人目にはフルーティな白ワインとは程遠く、実に酒っぽくというか、超ドライに作ってある。あの灼熱の大地で、食べ物が痛まないようにと塩漬けをし、飲み物が痛まないようにとワザとアルコールを添加するなどして作られる。大航海時代に、暑い船倉の中で長旅を乗り越えるために考えられたともいう。イギリス人が品質の悪いブドウを飲みやすい酒に改良したんだと、スペインにいる時に聞いた。【ヘレス】か英語なまりになると【シェリー】なんだとか・・・。ちょっと強引だけど・・・。
しかしこれ、彼の国では、歴とした食中酒である。あの暑くて乾燥した大地で、つめた~く冷やしたフィノ(最も普通で辛口のヘレス)とオリーブの塩漬けは、最高に旨い!にんにくとオリーブオイルだらけの料理には、白ワインよりずっとドライなフィノが最高に合う。チョリソにもドライなチーズにもバッチリで、飯も酒もグイグイ進む。これほど誉めたくなるほど、ヘレスが好きです!
TIO PEPEというのは、国外ではもっとも有名なシェリーだか、それはただ宣伝がうまかったからだと思っている。好きだけどね。しかし、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラの隣の【サンルーカル・デ・バラメダ】という町でのみ作られるものを特別に【マンサニージャ】とよび、これはもっと旨い。地元の通は、皆こちらを押す。さっぱりしていて、しかも葡萄の味があるって感じ。ヘレスには他に、【アモンティリャード】や【オロロッソ】なんて種類もある。発酵途中にもっと空気に触れさせて酸化熟成させて、色は褐色になり、甘く濃厚な味になる。これも旨い!
2年近く住んだカディスという町は、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラから15分程度の距離にあり、この町の奥に、秘密のマンサニージャ専門のバルがある。地元の人でも、詳しくなければ行かないような所。大家のルイスに紹介してもらって、何回か通った。ここでたっぷりマンサニージャの話を聞かせてもらったが、もちろんスペイン語だったので、今となっては全く覚えていない。あ~もったいない!
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラは、実はサーキットでも有名だ。F1も行われるし、バイクのGPは観に行った事がある。フラメンコも有名。スペイン内でも、ヒタノ(ジプシー)とそうでない人がとても仲よくしている町だそうで、日常のいたる所にフラメンコが存在するって感じ。でも町へ行くと目につくのは、何といっても【ヘレス】の醸造所かな。大小いろんな醸造所があり、葡萄園がある。何度か見学にも行った。もちろんタダでたっぷり飲ませてもらうために。ホント不思議なもんで、どこの醸造所でも、そこで飲むとまた抜群に旨いんだよね。
TIO PEPEの醸造所には、皇太子殿下(徳仁様)の樽もあるんだけど、なんかいろんな人の樽に挟まれて、さびしかったな。日本の王子様なんだけど・・・。ちなみにスペインの王子様は身長190cm以上のスポーツ万能、秀才、超美男子で、国民のヒーローです。
懐かしいヘレスの味を思い出したところで、一杯フィノを飲みたいところだが、ちょっぴり高いので、あんまり買えません。今はワインは800円のチリワイン。身分相応って事で・・・。
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