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2008年9月の4件の記事

のーまん ろっくうぇる

080924001_2 友人のブログにモネさんの【睡蓮】の絵の事が書いてあったと思ったら、昨日届いた愛読誌【住む。】のあるページにも【睡蓮】の事が書かれていた。なんか今、流行っているんだろうか・・・。

 そんなに絵には詳しくないが、でも小さな頃から自分は絵がうまいんじゃないだろうかと思いこんで生きてきて、そしたらタマッタマ偶然、誕生日がピカソさんと同じだったもんだから、きっと才能にあふれているに違いないとまたまた思いこんでスペインまで行ってしまい、そんでもって、ピカソさんの生家の横にある【Picasso】という語学学校に入って、すっかり芸術家になってしまった私である。もちろん気分だけの話で、そんな才能は・・・ない・・・。

 【睡蓮】は素晴らしい。モネさんはあの絵の中で、睡蓮そのものと、睡蓮と自分の間に存在する空気を描いているんだそうだ。光を描き、実際には見えない静寂な空気と時間を描く。そういう心になったモネさんの人生がすばらしいよね。絵以外のところでは、どんな人生だったのかは知りませんが・・・。

080924002 ピカソさんは、なんか親近感があり大好き。しかし、ノーマン・ロックウェルさんの絵も好きだ。全く対照的な画家。ピカソさんもデッサン力がすごい人で、その上でいろいろな時代を経て、少し独特な絵を描くようになったが、ロックウェルという人も、デッサン力のその次のステージを独特な世界に進んだ。その絵を見るだけで、我々をニコっと笑わせたり、なんか懐かしい世界に連れて行ってくれたり、ほのぼのさせてくれたりする。もっとも、戦争や差別に対する厳しい意見を表現している作品もある。

080924004  一瞬、写真じゃないか?と思って、よく見たら確かに絵で、デッサンがとてもていねいで、でもなんかとても温かさを感じるところが好きだ。自分も下手なりにも絵を描くので、彼がその絵を描いている時間を、なんか勝手に自分と重ね合わせてしまったりして、描いている時の彼に感情移入してしまう。

 モネさんじゃないけど、絵は、やっぱりそこにある空気とか時間とかを描けると、面白いんだよね。そう思います。まぁ、それは、図面だって同じだと思う。住む人の事とその生活の様子を、じっくり想像して線を引く。それが楽しい。その空気が描けたなら、同じ一本の線でも、全く違って見える。

080924005_2080924006  白黒の2枚は、私の絵。白黒で冷たそうでも、自分ではどこかに温かさを秘めていると思っているんだか・・・。

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ひとつづつ出来ていく。

080918001 ひとつ店舗ビルが完成。といっても今回は、図面を引いただけ。完全に下請けの図面屋さん。大きさも仕様もすべて決まっていて、設計らしい設計は全くしていないので、感慨一入(カンガイヒトシオってこんな字を書くんだ・・・)という訳でもないけれど、しかし自分が携わった建物が世の中に形として現れるというのは、何度経験しても嬉しい!いやホント!

080918002 このビルの工事、なんと2か月ちょっとで出来てしまった。作った人は偉い!建物の大小に関わらず、2か月で作るってのは、余程の段取りがいる。ホント御苦労さまでした。

 去年、事務所開業前にアルバイトで、やはり工期2か月という現場の監督をさせてもらった。平屋だけど100坪あるピアノ教室で、段取りの時間もなく大変だった。もちろん休みなし。終盤は毎日深080919005_3夜まで作業。しかも前面のとても大きな強化ガラスを設置する時に一枚割ってしまい、完成ギリギリまで風スースーで大変!防犯上も問題だから建物の前に車を置いて、毎日泊まり込み!冬だったもんなぁ。クロス屋さん、深夜の作業は、寒かったねぇ。

080919004_6  短い時間とはいえ、いや、短い時間だからこそ大変な苦労があった建物はとても愛しく、出来れば最後はピカピカに磨きあげ、しばらくそっと飾っておきたいという気持ちになっている。しかしそういう現場に限って、建物が完成する前から、施主様やら、開業後の業者さんやらが出入りする。「俺の娘にまださわるな!」なんて言えないので、皆 さんが帰ってから、掃除して雑巾で磨きあげたりする。建物が好きなんです・・・。

080919003_4 右上の写真は屋根を掛ける時、よく見ると、すでに壁と床の下地はすでに出来ている。普通は、屋根工事をやってから内部を作る。

 右の写真は、割れる直前のガラス。黄色い吸盤がツルっと滑って下に落ち、割れた。強化ガラスは見るも無残に粉々になる。作り直しも簡単じゃなく、1週間待たされた。「俺の娘に、なにするんじゃ!!!」

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いっぷく、涼む

Sbsh0102_2 昼飯の後、一服したい。いや、タバコは吸わないので、時間までゴロゴロしたい。今日はカレーを食ったので、汗だくで、ちょこっとアイスコーヒーなど飲みながら涼みたい。

 そんな時、この階段下の小さな廊下が大好きです。風が素晴らしく通り、無垢の床板が気持ち良い。だいたい昔から狭いところが大好きで、ガキの頃は家中の押入れに基地スペースがあった。

 階段というのは、家の中心だ。といっても、本当に真中にあってはジャマだけど・・・。2階建以上の家は、階段を中心に各部屋にアクセスする動線が作られる。なんとか端っこに寄せながら、でもドシッと生活の真ん中にいるように設計する。

 階段が風通しが良いという事は、家中が風通しが良いという事で、つまり風通しの良い階段があるということは、【風通しの良い家】ということである。飼い猫や飼い犬くん達がいつも階段下でゴロゴロしていたら、つまりそれは【良い家だ】という事になる。

Sbsh0100_2 階段って、天井が高い。当たり前か。設計のやり方によっては、ボコボコといろんな高さが現われて、立体的にとても面白い空間に出来たりする。ウチにいてもなかなか天井をじっくり見る事は少ないが、天井には、なんというか、日常にない姿があるようで、実は見ているとすごく面白いもんだ。

 家の中心的存在でありながら隅っこに追いやられる階段は、北側の空間に詰め込まれる事が多い。とすると、暗くなる。しかし、階段ってケッコウ使用頻度の多い空間なんだから、暗いってのは、おもしろくないな。明るくしてあげようよ。

080912003_2 とは言っても、面積の小さな部屋だから、壁にはなかなか大きな窓が取れない。だから天井に窓ってことになる。するとこれが、また天井が彩られ、面白くなる!床だってもちろん平らじゃないから、空から降り注ぐ光が壁や床に複雑な面白い絵を描いたりして、これまた楽しい!

080912005_3 リビングを吹き抜けにしてリビングの中に階段!なんて方法もある。これだと中心的存在の【階段様】が、本当に中心に来る事ができる。(・・・でもまぁ、この吹き抜けってのは良いのかどうか・・・。空調が効かなかったり、高い所にホコリ溜まりが出来て掃除できなかったり。キンチョールでうっとしいハエを追いかけまわしている時には、吹き抜けに逃げられてしまうと手も足も出なくなるし・・・。)

 おしゃれな建築雑誌に出ていた家で、南側の大開口サッシに沿うように、とてもキレイな鉄骨階段がついていた。階段が家のファッションセンスの道具になっている。カッコが良い!でも暑いだろうなぁ。手すりとか触ると「あちちっ!」て言うんだろうか・・・。スカートをはいてたらパンツ丸見えだ・・・。それもちょっと興味あるが・・・。

080912004_4 階段と言えば、住宅を設計するときは、出来るだけ子供部屋にはリビングを通らないと行けないようにする。居間やキッチン・ダイニングが1階にあって、2階に寝室・子供部屋なんてパターンなら、玄関入ったところに階段なんてありえない。目的は、二つ。子供が自然とリビングに出てきたくなるようにすること。自然と常に家族の顔を見る状況を作ること。それにより、家族を大切にする気持ちを育てること。これを【しかけ】という。どっかのテレビで見たような、バルコニーからテーブルセットが飛び出すとか、間仕切り壁からお母さんの三面鏡が飛び出すとかとは、ちょっと意味が違う。

 やはり階段は家の中心だから、この配置はとても難しい。でもだからこそ、いろいろ遊べる【しかけ】もできる。大きな階段、小さな階段。バリアフリーな階段・・・!階段が横幅が広くなると、座りたくなる。どうしても座りたくなる・・・。これも使える。グルグルまわる階段は、登ってみたくなる。降りてみたくなる・・・。これも使える。

 でも、我が家のように小さな家では、階段下で寝ていると、とてもジャマ!のようだ。というより、他の人が通れない。こんなことなら、あと50cm広くしときゃよかった・・・・・・。

 猫みないなもんだな、俺は。いや犬かな・・・。よく言うこと聞くし・・・。ブツブツ・・・・・。

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へい作り

 【へい】をつくった。もう一年半も前だけど・・・。山の中に・・・。

Hi360120_2 幼稚園が、山の中を開拓して田んぼを作ろう!なんていう自由参加の企画をやった。山の中だから初めはトイレもなかった。そしたら土地の持ち主がどこかで仮設トイレをもらってきてくれて、でもせっかく山の中なんだからこんなカラフルなトイレがドカッと存在するのはよろしくないと・・・。塀を作ろう!と皆の声。

 そこで白羽の矢!建築好きでヒマそうなお父さん発見。わ・た・し・・・!

 材料は古い家の解体材。セメントは買ったけどね。あとは全部、そこらで拾ったものとか・・・。釘まで拾いました。ともかく金を掛けたんじゃ面白くないっていうご指示です。指示をしているのは、幼稚園の関係者たち。そんときの園長さんとか、土地の持ち主とか、ウチの嫁さんとか・・・。

 簡単に言いますがねぇ。大変だったですよ~!材料かき集めて軽トラで運んでねぇ。山ん中でたった一人で基礎用のコンクリートをスコップだけでこねるには、これまた大変な量でね。だから強度をある程度保ったままカサを増やすのに、デカイ砂利を何度も何度も運んでコンクリにつっこむんだけど、貸してもらっている一輪車はパンクしているし、だいたいコンクリ作るにも水道がないから、小川に降りて小さな穴のあいたバケツで水汲んで・・・・・。実は誰にも言ってませんが、ボコボコの斜面で脚立立てて一番上で作業してたらそのままひっくり返って、アルミの脚立がグニャっと曲がるほどで、しばらくその場で一人でうずくまって・・・。と、今説きあかす事実。

080903004 2日目、コンクリートが固まって板打ち付けて、友人家族とウチの家族も応援に来てくれて、色塗って、完成!立派なものではないけれど、・・・自分では立派だと思っております。

 思えば、この田んぼ開拓計画。はじめから大変でした。戦前は田んぼだった事もあるという場所だけれども、戦時中に演習場になり荒廃して、戦後は砂利やら土やらを捨てるところになっていたらしい。3m近い高さの葦を刈るところから始まり、葦の根を一つ一つ引き抜きながら、山のような砂利を拾い集める。その時から一輪車はパンクしてました。

08090301 水は小川を少し上流で砂袋でせき止めて、古い塩ビ管で田んぼまで引っ張る。道を作ったり、橋作ったり、ホッタテ小屋を直したり。毎日食べている米の裏側には、こんな苦労があったのか・・・。一粒たりとも残せません。もちろん幼稚園の父兄さんたち大勢でやったわけで、毎回、お昼にはみんなでワイワイとお弁当も楽しかった。しかし、作業ができない小さな子供たちが遊びまわっている横で、チャーンソー振り回して伐採だの橋掛けだのしているのは、ちょっとすごかったけど・・・。

080903001080903003_3 力仕事や危険な作業は、父達の仕事。当たり前だわな。こういうところでは、父の仕事、母の仕事、子供達の仕事がハッキリ分かれる。何も言わなくても担当が自然と決まるし、お互いの苦労も良く分かる。むかしむかしの日本って、こんなだったんだろうな。大変な生活だけれど、すばらしい生活なのかも・・・。

080903007080903006 ここでは、子供達は父の背中を見る。母の背中も見る。自分たちでは出来ないような大変な仕事をモクモクとこなしている父。普段、夜、テレビ見ながらビール飲んでいる父と、休みの日にパンツ一丁になっている父しか見ない子供達に、「お父さんが働いているから飯が食えるんだぞ!」なんて言っても、ホントは誰も聞いてないんじゃないか・・・?目の前で汗して働く父の背中を見て、父の存在を認識する。

Hi360017_3 母だって汗だくで働いているんだけど、優しんだよね、この日は。

 夫婦で、家族で一緒に働くって、こういうことなんだ。と感じるすばらしい企画でした。

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