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夏の思い出

 涼しくなってきた。仕事に集中できるようになってきた。すると、山のように仕事があった。ペースが上がらない8月。我々も8月はヨーロッパ人のように【ばけーしょん】という文化を作り、心身ともに健康になって効率の良い仕事が出来ればいいのに・・・。まっ、1ヶ月休んだら、仕事のペースをもどすのに1ヶ月掛かるか・・・。しかし不思議だ。忙しい時ほど、マメにブログとか書けるようになる。

080825001_3  学生時代の夏休みの写真が出てきた。バイトして貯めたお金で、遊びまくってた。しかし、ボケーっとしないでシッカリバケーションを楽しめば、素晴らしい経験も手に入る。この年も、素晴らしい夏の経験をした。苦悩の経験でもあったが・・・。この写真は北アルプス・・・じゃありません。後ろの山は、マウント・マッキンリー。アラスカのデナリ国立公園内である。親友たちと三人で、シアトルからカナディアンロッキーを越え、アラスカをぐるっと回り、最終目的は北極海!という無茶な遊びをした。

080825009  旅路はアラスカン・ハイウェイがもうすぐ50周年を迎えるってんで、全面(?)舗装工事をやってる最中で、という事は、フェアバンクスから北は まだほとんど未舗装で・・・。なのにカッコつけてタンクの小さい中古のアメリカンバイク買って走ってたもんだから、後ろにポリタンクにガソリン積んで走っても、ツンドラ気候の真っただ中で人家もないどころか音さえもほとんどしない道で、ガソリンスタンドなんか滅多になくて、結局ユーコンリバーから北に100km走ったところでちょうど【ここから北極圏】というところ(ただの空き地に看板があっただけ)で止まり、最終目的の北極海には届かず引き返したきたという寂しい思い出がある。

 スズキ・サベージ650というバイクは、名車である。650ccで単気筒。小さなボディーにすごい音。初めてこの音を聞いた時は、感動で震えた。トルクはすごい。しかしもちろんスピードは出ない。馬力もさほどない。フルスロットルで110kmくらいしか出ない。こんなバイクで、アメリカ大陸のツーリングをやってはいけません。毎日、来る日も来る日も朝から晩までフルスロットル。しかも単気筒。10,000kmほど走ったところで最後にバルブがぶっ飛びました。しかし日本の単車はすばらしい。バルブがぶっ飛んだ後も1000kmは走ることが出来た。なんかキツツキのようなカカカッという音がしだしたかなと思ったら、だんだんその音は大きくなり・・・。でも最後には止まりました。

080825007 その前に、この単車はチューブタイヤであった。それでアラスカンハイウェイのダートを何百キロだか何千キロだか走ってしまい、エンジンより先にタイヤが逝きました。タイヤが完全に擦り切れてチューブが見えて、穴があいた。チューブに穴が開くたびにパッチで修理して、擦り切れたタイヤの底には寝袋の下敷き材を10cm幅に切ってガムテープで貼り、ダマシダマシ走った。日本から遠く離れたツンドラの大地でね。大変な経験だったな。一人だったら、本気、泣いてただろうね。

 最後はヒッチハイクでバイクごと拾ってもらった。この旅、いろんな人に拾ってもらった。この時は、ヨーロッパ系らしい二人連れのバン。道端で困っている人を拾うなんてことは、この時代のアメリカでは珍しくない。この二人、いい人なんだか悪い人なんだか・・・。ビールを飲みながら運転。きっと吸っているのはマリ○○○だ。せっかく拾ってもらったけど、もっと不安がつのる。

 着いたのは、ハイウェイから少し入った森の中。彼らの簡素な家がある。テスリンという町らしいが、他の家はほとんど見えない。今日はここの庭でテントを張って寝させてもらう。彼らはカーペンターで飯食っているらしい。仲間たちがやってきた。一人の白人と、数人のエスキモー(インディアン)。「はじめて日本人を見た。はじめての日本の友達に乾杯!今日は裏の湖でみんなで飯を食おう。我々の新しい友達のために。食べ物は我々が出すから、ビールを少しおごってくれないか」。ほんの少しの豚肉とサーモンとビールで、小さなバーベキュー大会。

080825005 裏に湖。音がない。おそろしいほど静か。対岸に家なんか一つもない。風が小さな小さな波音を立てている。夕日が山に落ちていく。これ以上の景色を見ることがこの先あるだろうか。続くハプニングと疲労。その中で救ってくれた人達は、はじめちょっと怖かったけど、初めて会った日本人に小さいけれど最高のパーティーを催してくれる。ヨーロッパから来た白人たちは、いろいろ事情があって流れてきたらしい。エスキモーの彼らは、現地の人間なんだろうか。決して裕福とは言えない様子。白人の中の一人、背が高い髭のおじさん、ロビン。夕暮れの音のない湖に向って、突然ハーモニカを吹き始める。ブルース。なんか映画でしょ、この光景は!

080825002_5 翌朝、近くのガソリンスタンドで何とか使えるチューブを探して、再スタート準備OK。一日しか一緒に居なかった彼らが、別れを惜しみ泣いてくれる。8歳のエスキモーの少年マイケルが、泣きながら友達の証しだと言って着ている自分のTシャツを脱いで俺にくれた。そのTシャツを、今、我が息子が来ている。古いTシャツなのに、なぜか気に入っている様子。見るたびにジンとくる。

080825012_5  このあと、良いハプニング、悪いハプニングといろいろあったが、これ89年のお話だから、約20年も前の思い出。旅の日記があって、読み返す。あぁ、また涙が出そう!

080825011_3  ちなみに、バルブがぶっ飛んだエンジンのヘッドはこんな感じです!

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04.アメリカ大好きブツブツ」カテゴリの記事