は、楽じゃない!!
いきなりストーブに薪を突っ込んでマッチで火を点けたって、そう簡単には火は点かない。新聞紙をやわらかく丸め、使用済み割り箸を数本並べたら、その上に小枝や細く割った板を空気が通り易いように組む。新聞紙に火を点け、しばらくして細めの薪から入れていく。
着火材としては、割り箸が最高。いろんな人に使用済みの割り箸ももらえないか聞いている。エコだね。割り箸ばかり大量に使えないので、手ごろな板を細く割っておくのも【父】のお仕事。着火材には柔らかくて火点きが良く、温度が高くなる割り箸やそこらへんの【板】みないな木材がいい。ウチの場合、実家のお向かいの息子さんが設備屋さんで、エアコンの梱包に使われる板を、そこのお父さんが釘を抜いてちょうどいい大きさに切って届けてくれる。本当に親切な方です。その板を暇な時にコマメに細く割る。いや、暇な日は少ないので、忙しい日々の合間をぬって割る。
週に一度か2週に一度は【灰かき】をする。よく乾燥している薪なら灰が少ない。でも出る。灰は庭にまく。肥料になる。まだ捨てた事がない。エコです。薪ストーブ生活にとって灰かきと耐火ガラスの掃除はとても重要。灰が全くないと薪が燃えにくいが、灰がいっぱいだとこれも効率が悪くなる。それに、ガラスが煤で真っ黒じゃ、せっかくの薪ストーブも面白くない。
煙突掃除は年一回。あと、2,3年に一回は扉などのガスケットの交換も・・・。
このように、薪ストーブというのはなかなか手の掛かる奴だ。でも我が家では、この薪ストーブが生活の中心になっている。
朝5時半、部屋の中心に置かれている薪ストーブに火を入れるところから我が家の一日が始まる。すぐヤカンを掛けて湯を沸かしたりスープ等を温めたり。後から起きてくる子供達もストーブの周りに集まる。乾ききっていない洗濯物も、周囲においてある子供対策用の鉄柵の上で、朝食が終わるころには乾いている。冬の煮物料理は必ず薪ストーブの上で。焼き芋だって簡単。夫婦の会話も薪ストーブから始まる。火の加減はどう?灰の量は?幼い子供達の家の中でのルールも自然に決まる。ストーブの前で暴れたり走ったりしてはいけない。実際に火がそこにあるから、いちいち教えなくたってわかる。夜遅く電気を消して、揺れる炎の明かりだけがゆらゆらと部屋を照らす。酒も旨い。真っ赤に燃える炭をつつく。顔だけが熱い。なんか楽しい。
薪ストーブは、【父】の仕事が多い。チェンソーや斧を振り回すのは、普通お母さんの仕事というわけにはいかない。(我が家では妻も斧を振り上げ、薪割りをするが・・・)父の仕事には危険と重労働が付きまとう。小さな子供達では、重たい斧を持ち上げることさえ出来ない。馬鹿には出来ない父の仕事を、子供達はずっと見ている。
生活の中で妻の仕事は山のようにあるが、一連の薪ストーブの仕事に関しては、一目置いてくれる。この【父の仕事】のことで、いつも会話をしている。来年用の薪はどうする?どこどこで薪がもらえそうだ。いつ取りに行く?夏の薪割りで汗だくになったあと、ゴクロウサンと言ってくれる。
木をずっと触っている。意識を持って【木】を触らない日はない。当たり前だが、木は種類によって全く違う。硬さも肌触りも、割る時の感覚も。もちろん木目も、色艶も。山から取ってきた木にいちいち名前が書いてあるわけではないが、木の事が少しずつ肌でわかっていく気がする。木の家が好きだと言うが、木の何が好きなのか・・・。
やめられない趣味だね。【覚悟】と【根性】と【好き】があれば、こんな面白い趣味はないな。独身時代はバイクも旅行も好きだった。スポーツもよくやった。家族を持つと、なかなかうまく両立できない。この歳になって環境が変わって、家族を守るという仕事、幸せにするという仕事とうまく共存できる趣味を持てた感じ。楽しいですわ。そんで、これをやめてしまったら、家族が寒いもんね。責任重大ですわ。
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