« 2007年9月 | トップページ | 2008年1月 »

2007年11月の2件の記事

でもよく働きますよ。

071113001 感覚が違うだけ。スペインの工場労働者の人たちは、毎朝7時から働いているんです。 (まぁ2時か3時までですけど・・・。)いや、町の商店は、朝8時から夜の9時くらいまで開いている。(まぁこれも、昼2時から5時半くらいまではシエスタですからお店は閉めますが・・・。)

 【生きる】が上手いんですよ。彼らは。マジで。

 アンダルシアでは、太陽が南中する時間が昼の2時か2時半ごろ。そういう風に国で設定している。ということは、朝がなかなか明るくならない。夏時間が終わるときなんか、朝8時でも真っ暗。で、夜がいつまでも明るい。夏至の頃は夜の11時前まで明るい。これは、すばらしい事なんです。

 スペインの生活の基本は、太陽が出たと同時に働き始め、午前中をたっぷり働き、一日の内でもっとも暑い2時から6時くらいに長い休息を取る。南部では夏の気温が毎日40度を軽く超える国。そんな暑い時間に働いているのはバカです。暑い時間はゆっくり休んで、そして日暮れまで涼しい時間にもう一度活動する。

 朝は多くの店が8時オープン。工場なんかは7時ってところが多い。

 お昼(2時ごろ)に家族揃って、一日のうちで一番しっかりした食事をします。子供達も学校から一旦帰ってきて、ゆっくり、しっかり、家族で食事。お酒も飲みます。昔は暑い畑に出て行った労働者や家族達の大切な水分補給は、ワインでした。乾燥した大地には、水が少ない。だから、昼にワインを飲むことは悪ではありません。ちなみにオマワリさんだって、昼間からバルでワイン飲んでます。運転免許のテキストには、【飲酒運転は違法ですから、飲まない方が良いですよ・・・・。】程度の書き方です。悪じゃありません。この地の文化です。

071113002 飲んで食ったら、シエスタ(お昼寝)。日陰は涼しいスペイン。働いて、食って、飲んで、ほのかな風の中で昼寝する。最高です。

 5時か6時くらい、少し涼しくなったら、労働者は仕事場へ、子供達は学校へ戻る。もう一度一日がはじまる。だから商店は、夜8時か9時くらいまで開いてます。

 夜10時ごろ、軽く夕食。Bocadillo(ボカディージョ;フランスパンのサンドイッチかな)をパクって感じですか。12時ごろ寝る人は寝る・・・、でも飲みに行く人はこれから・・・。飲み屋街は夜12時前には人がいません。ピークは1時から2時。

 で、やっぱり朝8時には仕事が始まる。スペイン人は寝ません。ヨーロッパの言葉に【スペイン人は寝ない。イギリスは飯がまずい・・・】ってのがあります。意味はたぶん、そのまま・・・・・。

 寝ないけど、休憩は多い・・・。当然の権利ですから・・・。

 夜9時ごろウチに帰っても、実はまだ世の中が明るい。人間明るいと、いろんな事が出来ます。ビーチでは、大人も子供もサッカーが始まります。スーパーやデパート、映画館も人が一杯。

 普段はボロボロの仕事着のおじいちゃん。でも毎日この時間になると、一帳羅のジャケットを出してきます。おばあちゃんも同じ。ワンピースに真珠のネックレスまでしています。二人で手を繋いで、浜辺を散歩。毎日お決まりのバルへ。一杯 Cafe con leche(カフェ・コン・レチェ  カフェラテの事)を飲んで、また帰りも手を繋いで帰ります。お話しながらゆっくり水平線に陽が沈む浜辺を歩く。ほとんど毎日です。

071113003 これ、珍しい情景ではありません。ココでもアソコでも、どこでも目にする光景です。少なくともアンダルシアのマラガとカディスでは・・・。

 スペインでは一日が2倍、3倍になります。夕方までに一日が2回あり、そして夕方、もう1回すばらしい一日が訪れます。

 【生きる】が上手いんです、スペイン人は。

 もちろんこれは田舎の話。都会では、なかなかこんなペースにはならないらしい。でも、基本はこれでしょう。

 さて、すごい集中力の日本人。【生きる】が上手なスペイン人。どちらが良いかなんてありません。次元の違う話。【生き方】の問題です。

 私は【家を造る】建築家になりたい。【家】は【生き方】の源になるところです。その人それぞれの【生き方】を理解して、【家を造る】がやりたいです。でもその時、少しでも【いろんな生き方】の話も出来るんじゃないかな・・・と思う。こんな生き方もありますよって。身体の力を抜いて、楽しくて快い、【ニマっと笑える家】つくろう!

|

また明日!

071105001 一つ大変な現場を終わらせた。K百貨店の改装工事。今回の仕事は現場監督。2ヶ月以上あったはずの工期が、結果的には半分の一ヶ月に。誰もが、クライアントや我々自身までも無理だと言いはじめていた工事だったが、最終的には何とか納めた。ほんとにスゴイ。俺がすごいんじゃなくて、一つ一つの作業をやり続け、やり遂げた職人さん達がすごかった。目標をもって絶対にやるんだ、終わらせるんだという気迫が、すごいね、日本人・・・!

 マラガにいた時、フランシスコから車を買った。日本でもシアトルにいた時も、車関係の手続きは自分でやったから、今回も自分でやろっと!まぁ、フランに助けてもらいながらいろいろ作業。

 住民票が必要。学生ビザでアパート暮らしだったから、市民センターみたいなところで新規に登録申請。

 仕事が遅いスペイン人・・・・もとい・・・・仕事を焦らないスペイン人ですから、市民センターはいつも長蛇の列。何分並んだだろうか・・・。1時間以上は経ったかな。フランにいろいろ教えてもらったとは言え、まだスペイン語はあんまりわからん。でもなんとか書類をもらって、書き方も教えてもらった。辞書と格闘して書き込んで、やっと提出。そしたら、【Hasta Man~ana】(アスタ・マニャーナ また明日)って言われた・・・・・。つまり、また明日来いって・・・。なんだせっかく苦労して書き込んだのに、住民票、今くれないのか。こんなの即日交付だろう、普通!

 翌日、また並んだ。市民センター。カウンターの向こうの人たちは、全然忙しそうに見えません。自分の仕事をやっているんだから、人の都合で忙しくする必要はないって感じ。田舎ですから、いまだにタバコを吸いながらお仕事をされている方もいらっしゃる。でも以外に、カウンターの外、つまり待たされている方は、ブツブツと文句を言っている。待つのは嫌なんです、スペイン人。

 以前、銀行でこんなことがあった。

 治安があまり良くないから、地方の小さな支店と言えども、中に入るためには2重の重厚な扉を越えなければならない。この辺は、やはり日本と違い緊張感がある。この扉、中の従業員か警備員がこちらの様子をチェックして初めて開かれる。あやしい人間は、中に入ることさえ出来ない。

071105002 小さな支店だから、入出金が出来る窓口は一つしかない。分厚い強化ガラスの向こうにいつもオネエチャンが座っている。ここもいつも並ばされる。窓口が一つしかないんだから仕方がないか・・・。でも今日はオネエチャンがいない。強化ガラスの向こうには、誰も座っていない椅子がポツン・・・。お客さんは並んでいる。

 10分くらい経ったろうか、コーヒーカップを持ってオネエチャンが帰ってきた。

 ちょっと休憩してコーヒーを飲むことをCaferito(カフェリート)という。実はオネエチャン、カフェリートに行ってました・・・・客を置いて・・・・・。

 朝仕事に出てきてから、カバンをおいて近所のバルにカフェを飲みに行くんだ、この国では・・・。コーヒーを飲むのは仕事上とても大事なことで、当然の権利なんだ。朝、時間までに会社に行くのは当然だけど、会社に着いてからバルへ行って、カフェオレとチューロス。これも当然、仕事の一つ。自分の仕事を全うしているんだから、誰に遠慮をすることもない。

 その銀行、他にも従業員はいるんですが、彼らも各々【自分の仕事】を全うしています。だから窓口には来ません。

 その後オネエチャンは、コーヒーを飲みながら、タバコもくわえて、平然と業務に戻りました。

 市民センターに戻ります。待って待って、俺の順番。昨日の事を説明して、昨日提出した書類を奥から持ってきてもらって、そしたら「ココが書いてないね」って言われた。だからすぐに書いた。そんで再度提出したら、やさしそうな担当者で、ニコって笑ってくれて、「アスタマニャーナ!」って言われた。

 また明日来い?・・・だと・・・?なんで昨日みてくれんのだ?

071105003 結局住民票が手に入ったのは、この二日後だったかな。彼らとは、時間の感覚の種類が違うみたいです。でもこの感覚が、長くスペインに暮らしてみると大事になってくる。あの土地での生きるリズムが見えてくる。

 長くなったので、続きは後日・・・。

|

« 2007年9月 | トップページ | 2008年1月 »